3部分:第三章
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第三章
「違うかい、それは」
「いや、その通りだよ」
「だからだよ。飲むよ」
「どんどんだね」
「ビールはどんどん飲むものじゃないか」
「確かにね。それじゃあね」
「わしが勝った時は覚悟しておけよ」
「そっちこそな」
こう言い合ってでした。
二人はまた謎比べをすることを約束しました。そして次の日早速です。
農夫とトロールは農夫の休憩時間に謎比べをしました。けれどこの日も決着はつきませんでした。引き分けのまま時間が終わりました。
「それじゃあ仕事に戻るからな」
「あれっ、もうなのかい」
「そうだよ。仕事にね」
「じゃあまた明日か」
「そうなるな。嫌かい?」
「いや、それでいいよ」
こう返すトロールでした。
「それでね」
「よし、それじゃあ明日な」
「明日こそはな」
「決着をつけるからな」
こう約束してそれで、です。また明日になりました。
その日はです。朝に少しでした。けれどこの時もでした。
時間切れとなってトロールは帰ることになりました。彼はここでこう言うのでした。
「中々勝負が決まらないなあ」
「そうだな。いい加減負けたらどうだ?」
「わしがか」
「そうだよ。勝負が決まったら楽になるぞ」
「それはその通りだ」
トロールはこのことは素直に認めました。しかしこうも言うのでした。
「けれどだ。それはだ」
「勝ってこそだ」
「勝ってか」
「勝ってそれで」
どうするのかもです。トロールは言いました。
「ビールをたんまり飲まないとな」
「楽にならないのか」
「その通りだ。だから絶対に勝つ」
「それはわしもだ」
「負けてたまるか」
トロールは強い声で言います。
「だからな。いいな」
「明日か」
「明日こそビールだからな」
「やれやれ。じゃあこっちもだ」
「明日覚悟しておけよ」
「そっちもな」
こう言い合ってそれで別れるのでした。そしてそれから一週間同じことを繰り返しました。けれど決着はつかないままでした。
それが十日になり二週間になってもです。全くでした。
奥さんがです。こう夫に尋ねます。
「あんた最近おかしなことやってるわね」
「トロールとのあれか」
「あれ何なの?」
怪訝な顔で夫に尋ねます。
「何をしてるの」
「謎比べだよ」
それだと答える農夫でした。
「それをしてるんだよ」
「謎比べ?」
「そうだよ」
こう話す農夫でした。
「それを今やってるんだよ」
「何か子供の遊びみたいね」
「そうだな。けれどな」
「毎日やってるの」
「そうだよ、毎日な」
農夫はこうおくさんに答えます。
「やってるんだよ」
「楽しいの?それ」
「楽しいよ」
実際そうだと話す農夫でした。
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