2部分:第二章
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第二章
「だからそういうのはないな」
「何っ、あんた人間じゃないのか」
「わしはトロールだよ」
このことを言う時も笑っています。
「この鼻を見ればわかるだろ」
「さっきから随分大きな鼻だと思っていたけれど」
トロールが指差すその大きなお鼻を見てです。農夫は言います。
「いや、そうだったのか」
「まあわしはいいトロールさ」
「人を取って食ったりはしないのかい」
「それは大きいトロールじゃないか」
そうしたトロールだというのです。
「わしとはまた違うよ」
「それを聞いてほっとしたよ」
「そうだろ?それでな」
「謎々かい」
「ああ、するんだよな」
このことを確かめるトロールでした。
「そうだろ?ビールを賭けて」
「お金じゃないのが残念だけれどまあいいさ」
農夫もこれで納得したのでした。そうしての言葉でした。
「それじゃあ」
「やるかい」
「まずはわしが出すぞ」
農夫は自分から言いました。
「いいよな、それで」
「いいとも」
こうしてでした。農夫からはじめてです。お互いに謎を出し合います。農夫もトロールも全て答えていきます。そうして時間を過ごしていると。
遠くから奥さんの声が聞こえてきました。
「あんた、持って来たよ」
「おっ、来たか」
「ああ、仕事中だったんだ」
「ああ、実はな」
「それならそれと言えばいいのに」
トロールは農夫に対して苦い顔で言いました。
「全く」
「それじゃあこれで終わりだね」
「いやいや、終わりじゃないよ」
「あれっ、まだやるのかい」
「そうだよ。まだだよ」
また言うトロールでした。
「だって勝負はまだついてないじゃない」
「そういえばそうか」
「引き分けのままで終わらせたい?」
あらためて問うてみせるトロールでした。
「そんな中途半端なのね」
「いや、こっちもそれはな」
「嫌だよね」
「中途半端はよくない」
農夫もこうトロールに答えます。
「それは絶対にな」
「じゃあまたね」
「またか」
「明日また来るから」
こう話すのです。
「それじゃあねその時はね」
「うん、じゃあな」
「それで決着がついたその時は」
「ビールをだな」
「実はわしはビールが好きなんだよ」
トロールは楽しげに笑って話します。
「だから。その時はね」
「飲むっていうんだな」
「そう、飲むよ」
まだ勝負は決まってないのにです。こう言うのでした。
「どんどんね」
「まあわしもだがな」
「あんたもかい」
「ビールは飲む為にあるものだろ」
農夫も楽しげな笑顔になってトロールに話します。
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