伏魔殿
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翌日・・・第三者side
『大魔闘演舞もいよいよ中盤戦、三日目に突入です』
『今日はどんな熱いドラマを見せてくれるかねぇ』
大魔闘演舞三日目の開始にともない、実況のチャパティ、解説のヤジマがそう言う。
『本日のゲストは魔法評議院より、ラハールさんにお越し頂いております』
『久スぶりだね』
『よろしくお願いします』
チャパティに紹介されたラハールは挨拶する。
『ラハールさんは強行検束部隊大隊長ということですが』
『ええ。大会中の不正は許しませんよ』
ラハールのジョークに会場中の観客たちは大笑いする。
『さすがは大隊長!!どんな時でもお仕事を忘れないんですね!!』
チャパティたちのトークによって観客席にいる人たちが盛り上がっている中、売店などのホールをラハールと同じ服装の顔にキズのある男が仏頂面で歩いていた。
「ラハールめ、俺まで付き合わせやがって・・・」
その男の名前はドランバルト。7年前の妖精の尻尾のS級試験に紛れ込み、妖精の尻尾を潰せるネタを見つけようとしていたが、ゼレフを求めてやって来た悪魔の心臓、さらにはアクノロギアの襲来により作戦を断念することになった者である。
ドランバルトは本日のゲスト、ラハールに大魔闘演舞に一緒に連れてこられたのだが、実は7年前の一件で妖精の尻尾を見捨ててしまったことに後ろめたさを感じており、あまり来る気分ではなかった。
しかし、ラハールの説得とある少年と少女の元気な姿を見たくて文句も言いながらもついてくることにしたのであった。その少年と少女とは・・・
「大変!!試合が始まっちゃう!!」
「なんで1人じゃないのにまた遅刻しそうになってんだよ俺は!!」
「あんたが屋台の串焼き食べたいなんて言うから!!」
「すごい行列だったのに〜!!」
「たって美味しそうな匂いだったんだもん」
「いいから急ごうぜ」
そう言いながら駆けていく黒髪の少年と藍髪の少女と水髪の少女・・・のような少年、そして3匹の猫たち。
ドランバルトはその少年少女を見て足を止める。彼が見たかったのは藍髪の少女と水髪の少年だったのである。
藍髪の少女は自分がS級昇格試験に紛れ込む際に利用し、天狼島に置き去りにしてしまった少女。
そして少年の方は同じく7年前に、彼の仲間たちから死んだと聞かされていた少年。7年間ずっと死んでしまったと思っていた2人の姿を見たドランバルトは、思わず頬を緩める。
「頑張れよ・・・2人共」
ドランバルトは誰にも聞こえることのない小さな声で、会場へと消えていく2人の背中にエールを送った。
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