第五章
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「しかもね」
「しかも、ですか」
「そのうえ」
「若し誰か倒れたら確実に問題になるから」
社会的にだ、そうなるというのだ。
「そうなったらアルバイトどころじゃなくなるし君達にもとばっちりが来るからね」
「そうした厄介ごとを避ける為にも」
「今のうちにですか」
「辞めた方がいいね」
これが先生の二人へのアドバイスだった。
「先生が思うことだけれど」
「そうですか、じゃあ」
「卒業、入社前にって思いましたけれど」
「ここは厄介ごとを避ける為に」
「そうします」
二人は先生の言葉に従うことにした、そしてだった。
実際にアルバイトを辞めた、そのうえで卒業と入社までの時間は他の短期のアルバイトをすることにした。
そして卒業と一緒に入社してだ、それぞれの研修を経て実際の勤務に入ってからだ。二人はその店の名前を久し振りに聞いた。
それでだ、二人は携帯で話をした。
「やっぱりね」
「先生の言う通りになったね」
優花は携帯の向こうの花純に応えた、仕事から終わってお風呂に入ってパジャマに着替えて自室でくつろぎながらだ、丁渡テレビでは今やりこんでいるRPGの戦闘画面が出ていて優花はそちらも見ている。
「本当に」
「そうね」
花純も応える、花純は丁渡勤務している店での仕事のシフトの時間が終わり着替え終わって店を出たところだ。今日は早帰りだったのだ。
「社員の人が倒れて」
「大想像になってるわね」
「超過勤務とお給料の安さ」
「待遇の悪さがね」
「ブラック企業ね」
あえてだ、花純はその店を経営している企業をこう表現した。
「つまりは」
「そうね、どう考えてもね」
「社員の人達どう見てもね」
「働き過ぎだったから」
「だからね」
「先生の言う通りになったのね」
ある店の正社員の人が過労死したのだ、診断でも言われていたという。
そしてこのことがネットで拡散されマスコミにも伝わり大問題になったのだ、今流行りと言うべきかどうかわらないがそのブラック企業だ。
「なるべくしてなった?」
「そうみたいね」
「それにしてもね」
ここでだ、花純は言うのだった。
「何であの人達そうした企業に入ってね」
「正社員にこだわったか」
「それはどうしてかしらね」
「やっぱり生活があるから?」
優花は考えながら花純に答えた。
「それでじゃないの?」
「正社員だと社会保障とか立場もあるし」
「だからしがみついてたんじゃないかしら」
「あれだけ酷使されてたのに」
「それでもやっぱり生活は必要だし」
それにというのだ。
「生活保障も立場もね」
「それで残って」
「そう、それでね」
そのうえでというのだ。
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