第二章
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「入社までね」
「お互い考えることも同じで」
「することも同じね」
「そうよね、それじゃあね」
「一緒に頑張ろうね」
「働こうね」
こう話してだ、二人はファミレスで一緒に働きだした。二人共就職先は八条グループの健全な企業なので安心していた。
それでアルバイトはその就職に向けての準備期間で仕事の練習も兼ねている筈であった。だがすぐにだった。
花純は店員さん、男の人の顔を見てだ、あることに気付いた。
「何か痩せ過ぎ?」
「花純ちゃんもそう思う?」
優花もこう応えた。
「何かね」
「尋常な痩せ方じゃないわよね」
「そうよね、顔色も悪くて」
「お身体が悪い?」
「いや、違うかも」
ここでだ、優花はこう言った。働きながら。店は奇麗で客も多い、しかしだ。
「ひょっとして働き過ぎ?」
「それで痩せてるの」
「だってあの人、若田さんね」
これがその人の名前だった。
「シフト外でも働いてるから」
「そういえば今日あの人六時までよね」
「今八時よ」
夜のだ。
「昨日もだったでしょ」
「ええ、昨日もおられたわね」
「あの人昨日もシフト六時までだったのよ、それも朝の六時から入ってて」
「八時までなの」
「途中休みあっても」
それでもというのだ。
「十三時間労働で」
「今でね」
「私達が帰る時も店におられるでしょ」
「そういえば」
花純も言われて気付いた。
「それからも」
「どれだけ働いておられるのかしら」
「しかも、よね」
「あの人お仕事色々やってるでしょ」
「ええ、接客もレジもね」
「何でもね」
「調理はしていないけれど」
それでもだった。
「何でもされてるわね」
「お店のお掃除もね」
「調理の人も」
こちらもだった。
「ずっとお店におられるでしょ」
「ずっと立ちっぱなしで」
「だから調理の人達も」
「そうそう、あの人達もね」
「皆げっそりとしていて顔がもう紫色で」
蒼白どころかだ。
「ずっと立ちっぱなしで働きっぱなしだから」
「休憩時間はあっても」
「一日十何時間も働いてね」
「それで休日も」
その日もだった。
「一ヶ月に何回?」
「研修もやけに多いらしくて資格の試験も受けさせられて」
「じゃあお家に帰って資格試験の勉強?」
「休む時間あるの?」
「寝る時間は?」
「店長さんなんか」
店の責任者である彼はというと。
「もうずっとお店におられるわよね」
「お家に帰ってないんじゃ」
「ええと、どうなのかしら」
「このお店って」
二人共暫くアルバイトで働いて不安になった、それでだ。
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