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困ったマニア
第四章

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「引き分けよ」
「わかりました」
「引き分けですね」
「そうよ」
 勝負の行方はそうなったというのだ。
「二人共納得したわね」
「はい、わかりました」
 二人は部長に同時に答えた。
「それじゃあ」
「それで」
「ええ、そういうことでね」
 部長は二人が納得したことも見てよしとした、そのうえで。
 二人はお互いの間にもだ、こう言い合った。
「次は負けないわ」
「それはこっちの言葉よ」
「ドイツ軍は無敵よ」
「ソ連具は最強よ」  
 ここでも言い合う二人だった、そして。
 沙織はすみれにだ、こう言った。
「今度は空よ」
「空軍ね」
「エース揃いのルフトパッフェを甘く見ると怖いわよ」
「魔女航空隊は知ってるわね」
 空でも負けていない二人だった。
「メッサーシュミットの素晴らしさ教えてあげるわ」
「ミグは侮れないわよ」
 二人共不敵に言い合う、その二人を見て。
 部員達は彼女達の間でだ、こう話した。
「ドイツとかソ連とか」
「もう完全にマニアね」
「陸に空に」
「二人共飽きないわね」
「そうね、けれどね」
 ここでだ、部長は部員達に言うことがあった、その言うことはというと。
「ドイツもソ連も当時は海軍大したことないわね」
「あっ、確かに」
「ドイツ軍は潜水艦ありましたけれど」
 Uボートのことだ、一次大戦の頃から使っていた。
「どっちもでしたね」
「海軍は確かに大したことなかったですね」
「空母もなかったですし」
 ドイツもソ連もだ、ドイツ海軍は結局グラーフ=ツェッペリンを完成させられなかった。
「どっちも海軍は」
「ぱっとしませんでしたね」
「ヒトラーもスターリンも海には疎くて」
「そのこともあって」
「そうよ、海軍ならね」
 部長はここでにやりと笑って言った。
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