第一章
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困ったマニア
軍事マニア達の間で第二次大戦中のドイツ軍の人気は高い、それは女の子達の間でも同じだ。
島崎沙織はそのドイツ軍マニアでだ、通っている八条学園高等部の歴史学研究会、彼女が所属している部活で常に言っていた。
「兵器も軍服も最高よ」
「格好いいっていうのね」
「性能もよくて」
「そうよ」
まさにというのだ、部活仲間達にも。
「ナチスは嫌いだけれどね」
「まあナチスはね」
「問題外だけれどね」
「それはそれで」
「ドイツ軍はね」
「格好いいじゃない」
こう強く言うのだった、目をきらきらと輝かせて。
「だら私もね」
「ドイツ軍贔屓なのね」
「そうなのね」
「個人的にはアフリカより東部戦線よ」
そこでのドイツ軍が好きだというのだ。
「ロンメルは実はドイツ軍では傍流で将としてもマンシュタインやグーデリアン、モーデルの方が上だったと思うわ」
「どの人も東部戦線で活躍してたわね」
「特にマンシュタイン元帥はね」
「その人達も見てね」
そうしてというのだ。
「私はドイツ軍贔屓なのよ」
「そういうことなのね」
「大戦中の」
「沙織にとってはその時のドイツ軍が一番」
「そう言うのね」
「そうよ」
胸を張っての言葉だ、その四角い感じの顔の大きな黒い目をきらきらとさせて大きな口をどやとさせて言うのだった、黒髪を後ろで束ね一六四の高めの背でスタイルはかなりいい。こうして見ると歴女にはあまり見えない。
その沙織がドヤ顔でいるとだ、ここでだった。
部室の大きな席のに座っている部員の中からだ、丸めの顔に長い睫毛を持っている紅の小さめの唇の色白の少女が言って来た。黒のロングヘアで小柄な感じだが胸はかなり目立っている。沙織と同学年でもある椎名すみれだ。
すみれは沙織を見つつだ、悠然として言った。
「ドイツ軍もいいけれど」
「負けたじゃないっていうのね」
「そう、我がソ連軍にね」
こう言うのだった、すみれはソ連軍マニアなのだ。
「負けたでしょ」
「アメリカが援助していなければ勝ってたわよ」
ソ連をというのだ。
「そうだったらね」
「けれど負けは負けでしょ。ソ連は勝ったのよ」
「人類史上稀に見る損害出してそれが結局崩壊の遠因になったじゃない」
一九九一年のソ連崩壊にというのだ。
「そのダメージが残って」
「それはそうかも知れないけれど」
すみれは苦い顔になって沙織に応えた。
「勝ったことは勝ったわよ」
「ドイツにっていうのね」
「そう、紛れもなくね」
すみれはソ連の勝利を言うのだった。
「確かに相当な犠牲が出たけれどね」
「スターリンの粛清もあってね」
「そりゃ私もソ連はね」
もっと言えば共産党はという
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