第三十八話
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、漆多。あのとき、俺と日向は廃校舎で会っていた。そして俺は彼女に呼び出され、もしかしたらって期待して行ったんだよ。お前の恋人だって知っていたのにね。お前に本当の事を言えなかったのは、そんな下心を持っていたことを知られたくなかったんだ。それに、全部話すよ。俺と彼女はキスをした。だから、お前を裏切っていることを認めたくなかった。それに、あんな場所に行ったために、彼女は、彼女は」
次の言葉が出てこなかった。あんな場所に行ったために、彼女は化け物に蹂躙されて殺されてしまったんだから。でもそれは言うことができない。誰も信じてくれないから。
「ぬぬぬぬ……やっぱりか……やっぱりやっぱりか。分かった。お前がそんな男だったってことは分かったよ。許せない。許せない。……お前をどれだけぶん殴っても気が済まないかもしれない。でも、その前にお前の知っていることを教えろ。なぜ寧々は死んでしまったんだ。なぜ如月もあの校舎にいて死んでいたんだ」
「それは知らない。俺は彼女と会って少し話しただけなんだ。キス以上は何もしていない。そこで別れたんだ」
「お前馬鹿か、そんなこと信じられるかよ。別れたとしてもなんで寧々だけ残ったんだ。如月はどこから来たんだ。お前はしらないのか」
「それは……」
それ以上の事は言えなかった。
「それはだねえ」
と、黙って聞いていた蛭町がつまらなそうな顔をしてしゃべり出す。
「警察の話によると、確かに日向寧々の口からは月人君のDNAが採取されている。残念ながら彼と日向さんはその日は性交渉が無かったようだ。それは解剖の結果で判明している。まあゴムでもつけてたら分からないけど、口内以外からは彼の体液は見つからなかった。体液ったって唾液だぞ。精液ではなかったんだ。ただ、日向さんには性交渉の痕跡はしっかりと残っていた。そしてそれは如月流星が相手だったということも判明しているそうだ。つまりは二人は、……やってたってことだ」
こいつなんでここまで知っているんだ? 被害者のプライバシーに係わることまで警察がばらすのだろうか? ありそうでもあり、信じられなくもある。
「そんなことあり得ない。……寧々が如月なんかと」
このことは漆多も聞いていなかったんだろう。狼狽して蛭町を見る。
「でも事実なんだから仕方がない。警察関係者が言っていたことなんだから、嘘じゃ無いと思う。確かに如月となんて信じられないけどな。……あんなチビのブサイクとね。よっぽど辛かったんじゃないの? せっかく月人君を誘い出して告白したのに、キス以上はしてくれず逃げ出しちゃったのかな。それでつい、近くにいた如月と関係を持ってしまったっていう、ちょっとした過ちなんだろう」
知ったかぶっていう男に俺は腹が立ってきた。寧々の名誉のためにそんなことはあり得ないと否定
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