第二章
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「ここはな」
「用心棒を雇い」
「そして、ですか」
「賊が来ても戦ってもらいますか」
「うむ、そうしようぞ」
長老はこう言い村で用心棒を雇うことにした、その用心棒はというと。
「この乱じゃ、流離の者もいてな」
「その中からですか」
「人を雇いますか」
「腕の確かな者が村に来ればその人を雇い守ってもらう、しかし」
「しかし、ですか」
「それでもですか」
「若しそうした人が来ないとな」
その時はというのだ。
「もうその時は仕方がない」
「村を捨てるしかない」
「そうするしかですか」
「そうじゃ。しかしそれは最後の手段じゃ」
村を捨ててだ、村人全体が流れ者になるか叛徒に加わるかはというのだ。
「まずは人を探すとしよう」
「用心棒になる人を」
「是非ですな」
「そうしようぞ」
こうしてだった、村は用心棒を探して雇うことにした。村の入口に立て札を立てたりして求めた。するとだった。
札を立ててだ、一月程してだった。村に粗末な旅人の身なりだがやたらと大きく筋骨隆々の男が来た。顔立ちは精悍であり顔は四角い。まだ二十歳程であるが眼光は強くその手に持っている大きな鞭が目立っている。
その男がだ、村に来て問うたのだ。
「用心棒を探しておられるとか」
「はい、そうですが」
「若しや」
「それがしで宜しいか」
こう村人達にだ、男は問うた。
「一人だけだが」
「あの、では」
「長老に会って頂けますか」
「すぐにです」
「そうして頂けますか」
「わかった、ではな」
男は村人達の言葉に頷いた。そしてだった。
男は長老の家に入った、そのうえで長老の前にその大柄な身体をしゃがませる様に座ってこう名乗った。
「徐達と申します」
「徐達殿と申されるか」
「はい、旅の武芸者ですが近頃は乱が多く」
「それでなのですか」
「昔馴染みの者を頼りそこに向かおうとしていましたが」
そこで、というのだ。
「この村の入口の札をたまたま見ましたが」
「書いてある通りです」
長老は徐達と名乗った男に項垂れる様にして答えた。
「賊が近くにいまして」
「用心棒をですな」
「探しております」
長老は徐達に素直に答えた。
「書かれてある通りです」
「左様ですな」
「それで徐達殿は」
「はい、それに応えてです」
「村の用心棒になって頂けますか」
「そうさせて頂きます、というよりかは」
徐達は自分からだ、長老に話した。
「ここはそれがしが自ら賊のところに向かいです」
「そしてですか」
「賊を皆退治しましょう」
「徐達殿がですか」
「はい、賊の数はどれ位ですか」
「三十程です」
「三十ですか。して得物は」
その手にしている武器のこともだ、徐達は長老に問うた。
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