暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
開幕
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れた。

思わず、少年は笑った。

自分がこれから、どれだけ無理で、無茶で、無謀なことをしようとしているのか、その一端を垣間見たような気がして、思わず笑いを漏らす。

「……上等」

《冥王》と呼ばれた少年は、静かに一歩を踏み出した。










《絶剣》と呼ばれた少女は、与えられた名に恥じぬ剣技を持って数人の相手を切り伏せたところだった。

しかし、その顔にはまったく喜色の色が窺えない。

そもそも、周囲に倒れ伏せ、赤い立体文字を頭上で回転させ続けている身体から、淡く発行する黄色い帯のようなものが放出しているということ自体がおかしいのだ。

先刻、ユウキは複数人のプレイヤー達に《同時に》襲われた。

そう、バトルロワイヤルという大前提を覆す《協力行為》である。自身の実力にプライドを持っている上位ランカーがそんなことをするとは、にわかには考え難い事態だ。実際、それについてルール上は公言していない運営サイドも同じ思いだろう。

さらに、襲ってきた彼らは一様におかしな共通点があった。

―――花?樹?……とにかくナニカが、身体のどこかに生えてた。

思い出しただけでぞっとする。

肩口か。背中から。あるいは頭から。

一様に先端部のみが黒く変色している黄色い発光体をその身に宿していたのだ。これはまったくの部外者から見ても、どう考えても装備品の類には見えなかった。

加えて、あの発光現象。まず間違いなく、心意(インカーネイト)システムがプログラムを上書きする際に確認される過剰光(オーバーレイ)と見ていいだろう。

死銃(ザザ)ではない。もし彼がこれほどの心意技を会得しているのであれば、ユウキなど初手で沈められている。心意戦では勝てないと踏んだからこそ、ザザの方もGGO内のルールに則って攻撃してきた。自分としても、進んで血みどろの心意戦は開戦したくはないので、相手が使わない限りできるだけあの力は使わない。

だとするならば。

今このバトルフィールドにおいて、自分とレン、そしてザザを抜いてこれだけの心意を発現させられるのは。

―――アイツしかいない。

その危険性を。

その異常性を。

精神的ではなく身体的に。ありありと、まじまじと、経験させられた少女は、冷え冷えとする実感を伴って口を開く。

決心を、宣言するように形にする。

「……レンと……戦わせちゃダメだ」

ぐっと唇を噛みしめて、少女は言う。その瞳に固い決意を込めて頷く。

時刻を見ると、ちょうど本戦開始から三十分が経とうとしていた。参加プレイヤーの全ての所在を暴く監視衛星が遥か頭上を通り過ぎる時刻だ。

下げていたポーチから取り出した受信端末を一瞥したユウキは、靴底で土
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