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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
開幕
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。やぁやァ、聞こエルかいレン君』

「……ッ。フェイバル、なのか!?」

中性的な『声』は、そう言われれば確かにヤツの声に似ていなくもない。しかし、このおぞましい現象はいったい。

頭がこんがらがりそうになる少年を見透かしたように、フェイバルは黒い眼球越しによくするくすくす笑いを放った。

『君がこウしてちゃんと出場してくれタことヲ私は素直に褒めるよ。そして私ハ君の、一晩じッくりとこねくり回してきただろう《反論》も全て聞こう』

語り合おうじゃないか、とその『声』は言う。

ほざく。

「……そんな見え透いた罠に誰が――――」

『君は来ルよ。絶対来る。……だッテそウしなければ、君の《底》は壊レてしまう』

愚かだねぇ、と。

『声』は言う。

『《助ける》こともでキない子供が背伸びスル様は、本当に愚かだ』

「――――どういう、ことだ」

『知〜らなイ。答えを知りたけレバ、廃都まデおいで。私の操り人形』

くすくす、と最後に嗤いを残し、真っ黒な眼球はふっと目蓋を閉じると、次いで支えている幹ごとはらはらと花弁が舞い散るように瞬く間に分散し、宙空に溶けるように掻き消えた。

後には、今までの光景がタチの悪い白昼夢だったかのようにピクリとも動いていない《死体》が転がっていた。

―――しん…い、だったのか?……でも

混乱した脳が、混乱した思考を吐き出す。

今のは、幻覚、だったのだろうか。シゲさんの推測によれば、自分は予選決勝の際に精神感応系の心意技を喰らった可能性が高いと言う。それがまた、本大会で使用された、ということだろう。予選フィールド内から空間的に断絶されている待機ドームの全員にかけるより、空間的には連続している決勝フィールドならば遠隔でかけられる、と。

しかし、それには一つの問題がある。

それは、予選決勝から一日が過ぎている、ということだ。当然、レンは昨日から今の今まで連続でダイブなどしていない。決勝を終えた後ログアウトし、本大会開始時刻に余裕を持たせて再ログインしたのだ。

―――ログアウトした後も付きまとうなんて、聞いたことがないぞ。

ぶるっ、と。

少年はおもむろに襲ってきた悪寒を抑えるため、二の腕をかき抱いた。

現実世界を越えてまで己の中に植え付けられたモノが、この上なくてどうしようもなく、生々しい想像を伴ってある一つの単語を想起させた。

―――そんな……そんなの…………

寄生。

毒々しいソレは、思い起こすだけで本物の毒のように脳髄を這いずり回った後、少年のちっぽけな心臓を握り潰した。

とても単純な、そして簡単な心理術。

上げて、堕とされた。

一晩で再び養った闘志を、初っ端から挫かれた。

先手を打た
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