第六章
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『我等はここにいる』
『何があろうともだ』
『ここにいてだ』
『怨みを』
「最早怨みだけ、そしてその怨む理由もその相手もわからなくなっている」
沙耶香は妖艶な笑みを浮かべて彼等の怨みを言ってみせた。
「まさに怨霊ね。けれどね」
「そうした怨霊でもね」
「私の相手ではないわ」
「こうしてそれぞれの分身でも力を使っている」
「それだけにこの結界は強いわよ」
「例え貴方達でも決して逃れられないわ」
分身達も言う、そして。
沙耶香本人の目がだ、ここで。
赤く光った、すると。
その光の緑がだ、さらに強く眩いものになり。
中の怨霊達を完全に消し去った、溶かして。
その後にはだ、何もなかった。古ぼけた洋館と荒れた庭があるだけだった。
分身達はその洋館と庭を見つつだ、本体に言った。
「これでね」
「終わったわね」
「怨霊達は一人残らず消えたわ」
「冥界に言ったわ」
「今頃東岳大帝の前かしら」
中国の冥界の支配者だ、ただこの国は広いせいか宗教的解釈がそれぞれの宗教や同じ宗教でも宗派の違いがあるせいか東岳大帝以外にも冥界の支配者がいる。
「どちらにしてももうこの世界にはいないわ」
「そうね、それではね」
「これで私達もね」
「お役御免ね」
「そうね、戻っていいわ」
本人も分身達に言った、微笑んで。
「お疲れ様」
「ええ、ではね」
「貴女の中に帰らせてもらうわ」
「これからね」
「そうさせてもらうわね」
分身達も応えてだ、そしてだった。
それぞれ沙耶香本人のところに来てその影の中に入っていった。そうして沙耶香は一人に戻った。そのうえで。
沙耶香は王のところに来てだ、こう言った。
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