第二章
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「あの人本当に心広いわよ」
「あんたの我儘いつも聞くから」
「あんたもその我儘を何で言うのか」
「そうしたこともよ」
「ちゃんと考えていったら?」
「そのことも」
「そうね、自分でも何で我儘言うのかしら」
ここで私も自分自身のことを考えて述べた、そして。
そのうえでだ、今度は自分自身のことについて考えた。どうして彼にだけは我儘を言うのか。それからだった。
彼がいつも私の我儘を聞いてくれるのか、そのことも。
それでもだった、何度も何度も考えて。
結局結論は出なかった、どうして彼にだけ我儘を言って彼はそれをいつも聞いてくれるのか。本当にわからなかった。
それでだ、日曜のデート中にだ、私は彼に直接尋ねることにした。とはいってもそれは私のことではなくて。
彼にだ、何故聞くのか尋ねたのだった。
「あのね」
「どうしたの?」
横浜の街、中華街から出た黄金町の商店街を進みながら言った。左右には色々なお店が並んでいて人が行き交っている。賑やかでお洒落でデートにはもって来いの場所だ。
その商店街を歩きつつだ、私は彼に言った。
「私いつも貴方に我儘を言うけれど」
「それで、っていうんだ」
「ええ、いつもその我儘を聞いてくれるわね」
「それはね」
「そう、どうしてなの?」
「うん、それはね」
彼は私にだ、一呼吸置いてから微笑んで答えた。
「僕もよくわからないけれど」
「それでもなの」
「うん、何か君の言うことなら」
「私の言うことなら?」
「何でもね」
それこそだといった言葉だった。
「聞きたくなって」
「それでなの」
「ついつい聞いてしまうんだ」
「そうだったんだ」
「自分でもわからないんだ」
どうして私の我儘を聞いてくれるかということをというのだ。
「けれど君の言うことなら」
「何でもなの」
「そうなんだよね」
「それを言ったらね」
ここでだ、私も彼に私のことも話した。
「私もよ」
「君も?」
「ついついね」
本当についついだ、自分でもわからないままに。
「言ってしまうんだ」
「そうなんだね」
「どうしてかしらね」
「何かそれってね」
「それって?」
「悪魔っていうか」
彼はくすりとしてだ、私にこうも言って来た。
「小悪魔かな」
「小悪魔っていうと」
「何か可愛いよね」
「私が可愛いって」
「実は最初から思ってたし」
「一緒にいて?」
「そうなんだ、まあとにかくね」
「とにかくなの」
「そう、普通になんだ」
こう話してだ、そのうえで。
彼は私にだ、こうも話した。
「その君の言うことをね」
「聞きたくなるのね」
「そうなんだ、自然に」
「私も自然とよ」
それを言うと私もだ。
「我儘言いたくなって」
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