第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
なお珠希はBluesである
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けば道場に通う同世代の女子の中では向かうところ敵無しとなった珠希は、ここで両親から得た言質を盾にして、空手の全国大会直前に道場をあっさり辞め、再びインドアに戻ってしまった。
すると中学時代、今度は婦女暴行犯に襲われたものの、逆に撃退して犯人を捕まえたことがきっかけで知り合った女性警官たちの奨めもあり、改めて今度はもっと本格的に護身術や柔術を教え込まれ、段位取得までしてしまった。今でも彼女たちとは仲が良く、暇があれば相手をしてもらったりしているくらいだ。
「……クソっ」
「てめえ。顔覚えたからな……っ」
背後に無数のキロネックスでも漂わせているかのように威圧する小心者少女(仮)に、リーダー格の上級生男子は短く舌打ちをすると、痛みに悶絶していたり気を失ったりしている仲間たちを置き去りにしてその場から立ち去ってしまった。
右肩を外す寸前まで持って行ったサブリーダー格の男子も、珠希が軽く力を抜いて解放してやると、すぐさま起き上がり、右肩を押さえてそそくさと逃げ去りながらも、見送る珠希に向けてしっかりと捨て台詞は吐いていった。
「あちゃー。これはやりすぎたかなぁ……」
汗ひとつかいていない涼しい顔を歪めながら、小心者少女(嘘)はそう呟く。
そこらにいるような一般人を相手に一対一してもそうそう負けることはない小心者少女(武闘派)だが、実際問題、顔を覚えられると後々まで面倒臭さや厄介事にストーキングされること間違いなしだ。しかも火の手が拡大すると家族や親類、親友たちとにまで延焼してしまう。
でもお前親友ろくにできてないじゃん、とかツッコんだら負け確だ。
ぼっちの怨嗟に塗れたタマキロネックスが獲物狩りにいくぞ、たぶん。
しかし、そんな小心者少女(偽)は冷静さを取り戻してきた中で忘れていたことがあったのを思い出した。
「あ、あの……」
「……ひゃ、ひゃいっ」
上級生男子を返り討ちにした本来の目的に深く関わっているはずの人物から、背後から声をかけられた珠希は思い切り裏返った声で返してしまった。
「珠希……さん?」
「……な、なに、かな……? 星河くん」
……ヤバい。これはマジでヤバいんだけど。うわどうしよう。どう言い訳したら……いや言い訳しても実際こうなっちゃったんだしでも何か言っとかないとめっちゃ誤解されるよねこの状況的にもてかこれってあれだよね、逆にあたしが星河くんの好感度的に死亡フラグ立てちゃった感あるんですけど――。
何がヤバいかは一目瞭然だ。
この隠れ武闘派ガチオタ少女は高校入学からまだ一週間ほどしか経っていないにもかかわらず、知り合って数日の同級生男子を前に思い切り上級生相手に喧嘩を売り、勝ってしまった。
イ
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