第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
なお珠希はBluesである
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に染まるだろうなと思いつつも、論争相手が28なら寝起きでも論破できる偏差値70越えの武闘派ガチオタ少女の(物理的)攻撃の手は緩まない。
「――ってぇっ!!?」
受け身を取り損ねた――珠希が取らせなかった、ともいう――上級生男子は腰から地面に落ちたが、珠希はさらに背負い投げたときに掴んでいた右腕を捻り、その男子をうつ伏せにさせると、肩甲骨のある辺りに足を置いた。
「さて、名前は存知あげませんけど――先輩。彼のこの右腕と星河くんの身の安全を引き換えにしていただけないでしょうか?」
リーダー格の上級生男子に向け、下からライトを当てた翁の面にも似た不気味な笑みを浮かべた珠希は、物腰低くサブリーダー格の男子の右肩の関節を外す手前の状況で交渉を迫る。
「てめえ。このクソ女……」
「何か勘違いされているようですね。先輩に拒否権はないんですよ」
リーダー格の男子が拒否の姿勢を見せようとした瞬間、珠希は締め上げる力を強め、足元で転がるサブリーダー格が痛みに呻く声を聞かせる。
しかし珠希が行っているのはあくまで交渉だ。本来は相手の意見も尊重しつつ、基本的にWin‐Winになる妥協点を見出すための行為であるはずのそれは今、交渉の名を借りた脅迫となっていた。
義務や責任を負わない輩ですら権利をうるさく叫ぶこのご時世、同人作家もやり、実質的な同人サークル主宰者でもあるだけあって、民法や刑法などの法律・条例にも造詣がある頭がフル回転し、天性の運動神経の良さを基礎に道場と警察官仕込みの体術をもって圧倒的武力にて制圧――それが中学時代、親友に「普段はアカエイ、キレるとキロネックス」、「美少女のフリしたインテリ893」とまで言わしめた珠希のやり方である。
なお、事後になって珠希が自分のしでかした事の大きさに悶絶死するまでがお約束だ。
でもアカエイも毒針持ってるじゃん、とは誰もツッコんでくれるな。
さもなくば学名の由来に偽りなしの殺人者の手が飛んd……
幼少期、件の女児わいせつの被害に遭いかけた日以降、珠希の両親は仮に今度何かあっても自分の身を少しでも自分で守れるよう、護身術も教えてくれる近所の空手道場に珠希を通わせることにした。それまでひとり絵を描いたり、兄と一緒にゲームしたりアニメを観たりするのが好きだったインドア少女は当然拒否するが、道場で一番強くなったら辞めてもいいという言質を両親から取ると、目覚ましい速さで技を覚え、近い年齢の男子を相手にしても勝利を重ねるようになっていった。
理由はもちろん道場通いするくらいだったら絵を描いてアニメを観てゲームをしたかったからに他ならないのだが、当時から空気を読んでいた珠希は口が裂けてもそんなことは言わなかった。
しかも気づ
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