第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
なお珠希はBluesである
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級生たちも下品に笑っている余裕がなくなったのか、威嚇を始めた。
「もう結構です。人間の言語が通じない人に話はありません」
これだから――。
ふぅ、と小さく溜め息をついた珠希は、自分の体温が急激に下がっていく感覚を捉える。
こんなだから珠希の異性を見る目は厳しくなる。ある程度の年齢になると、生まれつきの長女体質と小心者な性格のせいで寄りついてくるのはモテることとヤることしか頭にない下半身でモノを考えるチャラ男か、ストーカーじみた蛇のように執念深いガリ男ばかりだった。
だからといって、流されるままでいないのが竜門珠希という少女だ。
「は? てめぇ今なんて言った!?」
「マジふざけ――ってぇっ!?」
上級生男子の一人が珠希を軽く突き飛ばそうと腕を伸ばす。が、刹那その男子の視界はぐるりと回転し、身体は地面に叩きつけられていた。それが合気道や護身術にある一手だと気付いた者はおらず、当の投げられた男子本人は自分の身に何が起きたのかもわかっていなかった。ただ一人を除いて。
突然のことにしんと静まるその場を支配していたのはたった一人の新入生の少女。
足元に転がる上級生男子を前に、その少女はゆっくりと左足を上げ――スカートの中が見える直前でその足を男子の鳩尾めがけて振り下ろし、柔らかい素材でできているはずの内履きの踵を撃ち込まれた痛みに呻く男子を蹂躙しながら越えると、穏やかな笑みさえ浮かべて告げた。
「女でも容赦しないなら、こっちも目上だろうと容赦しませんよ?」
この上級生男子たちは当然知るわけなかったが、集団の中ではとにかく空気でいようとする小心者少女の堪忍袋の緒が切れようものならどうなるかを知る人たちの証言は共通している。
――あの娘は本気で怒らせるとヤバい。いつか死人が出る、と。
普段はおとなしく目立たないと思っていた人がキレると人格が変わったように攻撃的な言動を取るというのは昨今の事件で聞かれる証言だが、珠希の場合、寒気がするほど物腰が低くなったこのような状態が最も危険である。
「じゃ……、二人目」
「ぐふっ……!」
上級生男子たちがたじろいだ瞬間、それを見逃さず珠希は最も近くにいた上級生男子の懐に一瞬で潜り込み、軽く鳩尾に左肘で一撃。よろめいたところをすかさず握り締めた右手で顎を下から突き上げると、白目を剥いてその上級生男子はノックアウトされてしまった。
「……次、三人目」
「っ! いってぇぇっ!?」
すぐに別の、近くにいた上級生男子に狙いを定めると、珠希は先んじて膝のやや上を足の裏で蹴飛ばす。
「が……ぁっ」
膝を曲がってはいけない方向に曲げられる衝撃に上級生男子の身体が前のめりになったところで、顔面
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