第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
なお珠希はBluesである
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や立体交差を使って移動するトラックの荷台にジャンプする主人公がいたりする。それよりは安全に見えるだろうが、それでも一般的な日常生活を送る10代が、しかも女子高生がすることかといえば、誰もがしないと答えるだろうし、男である昴でも決断・実行するには勇気がいる。
「――って、こんなことしてる場合じゃねえ」
視界の端、星河の後を追いかけていく珠希を捉え、昴も今ここで驚嘆してる場合ではないと急いで階段を下りていった。
☆ ☆ ☆
あー、なんでこんな役回り引き受けちゃったかなぁ。
星河と、星河を逃すまいと囲うように連れて行く3年生男子の後を追いかけながら珠希は心中でボヤいた。
踊り場の窓の外、校舎の搬入口に大型トラックが停まっていたのを見て、今から1階まで下りてちゃ間に合わないし、4、5mくらいならイケるかな――と恰好つけて飛び降りてみたものの、つい2ヶ月前に買い揃えたばかりの新しい制服はトラックの荷台の屋根の汚れに塗れてしまい、高さ2mはあるトラックの荷台からアスファルトに飛び降りたときの足の痺れはまだ取れない。しかも荷台から地面に降りたとき、ちょうど搬入口から出てきたトラックの運転手とばっちり目が合った気がした。
まあ、そんなことよりも今は――。
生憎と珠希はただ走るのが苦手である。
正確に言えば苦手になった、というべきなのだろう。中学3年の夏休み前までは妹の結月にも劣るほど、悪い意味で走るのに不自由しなかった体型だったはずなのだが、怒涛の二次性徴を迎えた夏休みが明けると、下着、シャツ、制服、体操着――とにかくあらゆるトップスがキツくなった。そして同じ女子陣からのやっかみの視線と男子からのいやらしい視線がイタくなった。
今も本気でダッシュをかけると軽く痛い。足以外の、上半身のどこかが。採寸とってくれたお姉さんと相談して上着は大きめのを買ったつもりなのに。
たとえ感触がマシュマロでも大きいとその分重くなるんだよ。当たり前じゃん。基本的に脂肪の塊に何を期待してんだと小一時間ry――とはいうものの、本気を出せば100mを高校総体に出場できる速さで駆け抜ける脚力が珠希にはある。
大事なことだからもう一度言うが、本気を出せば、だ。
そして少しばかり本気を出した珠希は、背後から声をかけた。
「星河くんっ!」
「え? あっ、珠希さ……」
「何だお前」
「見たことねえ顔だな」
「新入生か。そのリボンの色は」
珠希の声に気付いた星河が振り向くと、それを遮るように一緒にいた男子生徒たちも振り返り、まるで品定めするような視線を珠希に向けてきた。
「一年にしちゃあ随分と育ちがいいんじゃね?」
「
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