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『DIGITAL MONSTER X-EVOLUTION:Another-X』
第二幕:【立ち返りし日々に安寧無し】
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ー…………まあ、ホントにヤバいときは言ってね。僕が買い出しに行くから」
「お師匠さま、ごはん一色の思考から離れてください。さっきからごはんの心配しかしてねーですよ。
あと、買い出しに行く【ロイヤルナイツ】とか前代未聞なんで絶対にやめて下さい」

調理の最終仕上げを終え、寸胴鍋の蓋を下ろしたスパーダモンは、スタンディングスタートで
今にも飛び出そうとしている己が師(アルフォースブイドラモン)に釘を刺す。
何かブーイングのようなものも聞こえたが、あえて無視した。

「そもそも、ごはんの心配をしなきゃいけないのも、お師匠さまが――――」
「ときにスパーダモンくん。デジモン同士、互いに友好を深めるには何が1番だと思うかね?」

不意打ち気味に姿勢を正して坐するアルフォースブイドラモン。
先程とはうって変わって、その声は真面目だ。

「…………唐突にイイ声を出して話題を強引に変えないでください。ええと、互いに友好を深める
ためには、ですよね? うーん…………一般的に考えて、話し合いが通じるならばそれで、ダメなら
互いの武勇を競って――――ではダメですか?」

エプロン姿からいつもの恰好へと移行しつつ、若き弟子は思いつく限りを口にした。

「デジモンとしてならそれも良し。でも、僕の弟子としてなら三角採点かな」

評価の声は柔らかだったが、しかし意外にも厳しいものだった。

「もちろん、そんな一般論も良い。大事だよ? でも、コトはもっと単純なのさ。難しく考えるのも、
良くはない。あ、勘違いしないでほしいんだケド、今の答えがダメってわけじゃあないんだ。でも、
僕としては常識に囚われない“わこうど”的斬新な意見を聞きたかったワケでね?」
「…………では、お師匠さまの場合、何が重要だと仰るのですか?」

そんな弟子の尤もな疑問に、アルフォースブイドラモンは胸を張って答えた


「それはね――――ズバリ、“ごはん”だよッ!!」


だよ――――――――――――
だよ――――――――
だよ――――

張り過ぎた声が、(こだま)した。

「………………………………………………………………………………………………ハイ?」
「ひもじいってのは、何よりツラい。空腹は皆から笑顔を奪う。考えも纏まらないし、浮かんでも
良い考えには決して繋がらない。厳しい鍛錬をするときなんかはしょっちゅうさ。何もかも憎らしく
感じちゃうんだ。で、そんなときスゴくちょうどいいタイミングで差し出される極上肉が――――
またタマランのよね、コレが」
「単純とかそういうレベルじゃねぇぞ。ってか、後半から話が脱線してるじゃないですか」

尤もなツッコミだが、当人(アルフォースブイドラモン)は涼しい顔だ。何事も無かったか
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