例えばこんな未来もありえたかもしれない(完)
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でも、今日それがちょっと違ってることに気付かされた。俺……本当はオウカと支え合って生きてたんだ」
「知ってるさ。お前らがずっと一緒にいたことも、一緒に成長し合ってきたことも」
「うん………でも、だからこそ駄目なんだ。俺とオウカは一心同体だけど、それは二人で戦ってるんじゃない。二人が一つになって、どうにかこうにか戦ってるだけだった………俺もオウカも負けちゃうと、そのまま負けちゃうんだよ」
弱さ――ゴエモンに何所か似つかわしくて、そして戦いそのものから縁遠いゴエモンが発するにはどうにも似合わない言葉だ。けれど、その言葉を発する人間は、必ずその逆――つまり強さを求める。ゴエモンもオウカも、このままじゃ駄目だと思ったらしい。
「勝てない、負ける……って思った時、俺が真っ先に思いついたのがジェーンに助けを求めることだった。すげぇ情けないし、卑怯な事しちゃったってリューガさん達にも謝った。それでも俺………あの時、ジェーンなら絶対に助けてくれるって思っちゃったよ」
「当たり前だ。私はお前を護衛するのが趣味だぞ?」
『なにその趣味……』
(黙ってろ今いいところだから)
ニヒロの茶々を黙らせて、私は辛抱強くゴエモンの出した答えを待った。
オウカもまた、固唾をのんでゴエモンの様子を見守っている。
「俺さ………俺、母さんの事があって以来初めてなんだよね。全面的に人に頼り切っちゃったのって。いつも自分でどうにかしなきゃって悩んで、力を借りて一緒に挑むことはあってもまかせっきりって無かったんだ。それで、実際に頼り切っちゃって、あんなこと言われて………」
「言われて?」
「………ああもう!!――惚れちゃったんだよ!!オウカの『大好き』は心があったまるけど、ジェーンの『大好き』はこう、心を奪われるような力強さだったんだ!!」
ゴエモンの顔は、既に熟れたリンゴより真赤になっている。
でも今まででに見たどのゴエモンより、自分のために一生懸命になってる感じがする。
………あ、そっか。ゴエモンって今まで他人に求められて応えてたけど、今のゴエモンはひょっとして、私を求めてくれてるのか?
なんだ、その、悪くない。非常に悪くない。とてもとても悪くないというか、心臓の鼓動がビックリするぐらいドキドキしてるというか、そわそわしすぎて髪の毛が白く輝きだしたというか、喉の奥で心地よい何かが蠢いているというか。
ともかく、なんだ。私は多分この感覚をずっと求めてたんだろう。
この『嬉しい』を。
「………一緒に居たいなって、思ったんだ。時々ちょっとドジで可愛いけど、戦いだと格好いいヒーローになるジェーンに……いつも隣にいてほしいんだっ……!!」
「い……いてやるさ!いつだっていてやる!頼まれなくたって助けてやるんだからな!!そ
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