暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな未来もありえたかもしれない(完)
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んん?」

 あれ、何故かゴエモンがオウカにグイグイ押されて出て来たぞ。

「どうしたんだお前……説得しに行ったんじゃないの?」
「いや、説得しにいったんだけど……オウカが元気になると同時に『ジェーンはどこ!?』って……」
「あ、いた!ジェーン!!」

 オウカだ。目元がちょっと腫れているが、もう泣き止んだのか今の姿からは活気が満ち溢れている。だが、オウカにしては珍しくちょっと怒った表情が見えた。それも私を見たら一気に綻んだが。

「あのね、ジェーン!!」
「お、おう。どうした」

 ひしっ!とジェーンに抱き着いてきたオウカは、えへへっと笑った。

「そのね……ゴエモンのこと助けてくれたのも嬉しかったけど、本当は私の為に怒ってくれたことが一番嬉しかったんだ。私、ゴエモンの事ばっかり考えてて、友達のこと忘れてた」
「………辛かったらいつでも頼ればいいんだよ。お前もゴエモンに似てぶきっちょだ」
「まぁ、あんなに大暴れするとは思わなかったけど……ありがと!」
「どういたしまして……お前にお礼言われたのって初めてな気がするな」

 心に乱れや不安定なハレーションが感じられない。完全に立ち直ったらしい。
 しかし、ならば何故怒りながらゴエモンを部屋の外に出したのだろう。もっと狂喜乱舞してもおかしくなさそうだが……何かやらかしたのか、あいつ?

「……っと、忘れるところだった。あのね、ジェーン。私、ゴエモンから好きって言われたの」
「そっか。おめでとう」
「でもね………でもね………!」
「でも、どうした?」

 次の瞬間、チャージされていたオウカの謎の不満が爆発した!!

「………ゴエモンの為に本当に頑張ったのはジェーンでしょ!?なのに、何で一番頑張ってくれたジェーンじゃなくて私に先に告白するのッ!?嬉しいけど順番違うでしょっ!!……ってことよ!!という訳で………ゴエモン!!」
「はいっ!!」
「ん!!」

 勢いよく敬礼で返事したゴエモンの下に、私の背中がグイグイ押される。
 なんかよくわからんが凄い行動力だ。今までのオウカがこんなに強引な手段を取ったことがあっただろうか。告白以外でも何かが吹っ切れたらしい。

「……えっと、ジェーン」
「何だ、ゴエモン」

 言葉を選ぶように視線をふらふらさせているゴエモンの背中をオウカが小突く。「あうっ」と悲鳴を漏らしたゴエモンは、今度はしっかりジェーンの眼を見据える。

「あのね、ジェーン。俺とオウカを助けてくれてありがとう!」
「そりゃピットに帰還した時も聞いたんだが……」
「そうじゃなくて!……俺、ジェーンさんを頼ってみて気付いたことがあるんだ」

 静かにゴエモンは語り出した。

「俺、今までオウカに守られてるって思ってたんだ。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ