例えばこんな未来もありえたかもしれない(完)
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」
「あらぁ、もう完全にS.A.に戻ってくる気ゼロね……」
ヒポクリットは猛スピードで学園の修繕に為の書類を片づけながらため息をつく。
いや、元々彼女には人間らしさを学んでほしかったからこういう反抗的な態度に腹は立たないのだ。腹は立たないのだが……まさかこんな大胆な形で組織をバックレるとは全く想像していなかっただけに寝耳に水だ。
しかもアリス曰く、「勢いでやっちゃった面倒事を押し付けるだけ押し付けて逃げただけ」らしく、これは完全に計画性ゼロのバックレだと断定した。……説明するアリスは心底面白そうだったが。
しかしうまいやり方だ。隊員達はその大半がこの状況を面白がっており、ジェーンを取り戻しに行く気はゼロ。仮に戻そうにも唯一仕様特殊能力のせいで突破口が一切見つからない。その上ジェーンは組織の秘密を多く知っているため、下手に手を出せば盛大に組織の存在がバラされてしまう。
「まぁまぁヒポクリット!どうせ亡国機業は潰れたんだし、仕事そんなにないでしょ!」
「だーよねー?もうジェーンちゃん自由にしたってイイんじゃないのー?」
「そうそう。折角ジェーンが『女の子』になったのよ?私たちが背中を押してやらずにどうするの?」
「末永くばくは……アイタタタタ!?ちょちょちょアリス!踏んでる、足踏んでる!!冗談だって普通にお幸せ願ってますって!!」
……とまぁ、そんな訳で。
ジェーンはこの日を持ってS.A.を寿退職することとなったのであった。
= =
ジェーンは、待っていた。
現在、ゴエモンが部屋の中でオウカの全力慰めを決行している。ジェーンの超人的な聴力とISリンクを持ってすれば内容を確かめることなど容易いが、それでもジェーンは何もせずに待っていた。
今回、オウカの負った心の傷は大きい。
結局ジェーンに助けられることとなったオウカは、自力で勝つことのできない脅威があることを認知。そして、ゴエモンの期待に沿うことが出来なかったせいで自己の存在意義が崩壊しかけているのだ。
ジェーンも精一杯慰めたが、オウカを救えるのはゴエモンだけだ。
「くっつくかなぁ、あの二人」
ぽつりと漏れた呟きに、ニヒロが答えた。
『………ママを応援したいけど、やっぱりくっつくんじゃない?』
「だよなぁ……私より付き合い長いからなぁ」
二人の絆はジェーンとゴエモンの間にあるものとは別物だ。二人の繋がりは、きっと死が別つまで――いや、別った後も途切れることはないだろう。自分の一方的な物とは違って、確かに二人は通じ合ってきたのだ。
やがて、部屋のドアが開く。
やっと出て来たか、と壁にもたれかかっていたジェーンは体を伸ばした。
「遅かったなゴエモ…………
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