三十三話:お誘いと日常
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く―――大量殺人者だ」
「それ以上減らず口を叩くなッ!!」
一撃一撃が必殺に等しいぶつかり合いを行いながら二人は言葉を交わしていく。
兵士たちはその凄まじさと気迫に押されて誰一人として割って入ることは出来ない。
そもそもリッドは幽閉されている身なのだがエクスヴェリナのテロ紛いの行動に乗じて抜け出て来たのだ。
そして下手な兵より、それこそ覇王クラウスと渡り合える実力があるので襲撃者を撃退しようと出てきたのだ。
だが、今のリッドに冷静な感情は無い。ただオリヴィエを侮辱された怒りで支配されている。
「いいぞ、その殺気! やはり戦いとはこうでなくとはな! 誰の為でもなくただ殺し合う。やっとたどり着いた!」
「お望み通りにしてあげるよ……。―――全力のエレミア相手に生きて帰れると思うなよッ!!」
「あはははは! 踊ろう! 死の舞踏を! さあ―――死ぬまで踊り狂おうではないかッ!!」
鷹のように鋭い眼光で自身を射抜くリッドの視線に心地よさそうに体を震わせサーベルを振り上げるエクスヴェリナ。
二人はどちらかが死ぬまで続けられる死の舞踏に興じるのだった。
そして、これがかつて『戦場王』と呼ばれ、民に見捨てられたために『暴君』と呼ばれることとなったエクスヴェリナ・V・ノルマンの最後の戦いとなった。
「これが、我の記憶だ。我が子孫よ。しかし、もう少しうまくやるべきだったな。寝ている間しか会話を交わせんとは。しかも我の記憶と人格が一体化して我が直接伝えるしか道がないというのは完全に誤算だ。面倒な手間が増えたものよ。まあ、暇だから構わんのだが」
薄ら暗い空間に立つのはエクスヴェリナ。
そして、もう一人は今よりも遥かに幼い子孫のリヒター・ノーマン。
「しかし、汝はその年でよく我の元まで来れたな。一生辿り着けん子孫もおったというのに」
興味深げにまだ五歳程度のリヒターを眺めるエクスヴェリナ。
そんな彼女の様子に首を傾げるリヒター。
「だが、まだ我の人格は完全には覚醒しておらん。こうして出会えるのは先ほども言った通り夢の中でだけだ。我の人格が覚醒すれば起きている間も会話を交わせるのだが……まあ、何か切っ掛けがあれば覚醒するだろう」
ブツブツと呟くエクスヴェリナの話をボーっと聞いていたリヒターだったがここで初めて口を開く。
「ごせんぞさま?」
「ふむ、別にそれで構わん。してなんだ?」
可愛らしい子供に少しばかり頬を緩めて尋ねるエクスヴェリナだったがこの時彼女はまだ知らなかった。
リヒター・ノーマンは―――かなり変わっていることを。
「ごせんぞさまはひんにゅうなんだね」
「そこに直れ下郎が!」
こ
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