三十三話:お誘いと日常
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に駆られ足を止める。
「そちらが来ぬのならこちらから行かせてもらうぞ!」
死刑宣告を下し踏み込む。
しかし、その瞬間に高密度弾が襲い掛かって来る。
「ゲヴェイア・クーゲルファイアッ!」
「ぬ、これは中々。だが―――甘い!」
高密度弾を器用に切り裂いて胡散させながら彼女は攻撃した本人へ斬りかかる。
だが、その斬撃は黒い『鉄腕』により防がれてしまう。
そのことに歓喜しながら彼女は一端距離を取る。
「これは行幸だ! 少しは骨がある奴が出てきた! 貴様名乗ってみよ」
「……ヴィルフリッド・エレミア。こちらは名乗ったんだ。今度はそっちの番だ」
「エクスヴェリナ・V・ノルマン。中々成仏できずに死に場所を求めて彷徨い出てきたのよ」
クツクツと笑いながら宣言する彼女に周りの兵士は動揺する。
死んだと思っていた相手が現れればそれも当然だろう。
しかし、リッドは欠片も動揺せずに落ち着いて言葉を返す。
「臣下に裏切られ、民に捨てられた『暴君』が今更哀れだね」
「くっくっく……そうよのう。だが、元々我は王というものは好かんかったのよ。自由に生きることができんのでな」
「……やっぱり、あなたは王足りえない。王というものは国に尽くす物だ」
「確かに我は王としては力不足だったのかもしれんな。しかし、国に踊らされ自由に生きられんなど本末転倒ではないか? 例えば―――聖王オリヴィエのようにな」
彼女がそう言った瞬間、リッドが怒りの形相を浮かべ魔力弾を飛ばした。
しかし、エクスヴェリナはそれを一閃することで防ぐ。
そして不敵な笑みを浮かべながら話を続ける。
「この国も勝手なものよう。人質代わりに差し出したかと思えば、価値のある道具となればすぐに呼び戻す」
「……黙れ」
「惜しいことをしたものよ。あれ程の使い手もう二度と現れんだろうに。それをあんな物の動力とするとは。勿体ない」
「黙れ…ッ」
「国に縛られたが故に自由に生きることができず生贄となった。我とあの女、どちらがより哀れだと思う?」
「黙れぇぇえええッ!!」
怒りの咆哮を上げ突進してくるリッドの拳を二本のサーベルで防ぎエクスヴェリナは獰猛な笑みを浮かべる。
拳と剣が火花を散らしながらぶつかり合い幻想的な光が辺りを照らすがそこに込められたものはどちらも純粋な殺意だけだ。
「国も民も我は失った。しかし代わりに自由を得たぞ。されどあの女は何を得た?」
「黙れと言って…ッ、いるだろうッ! ヴィヴィ様はベルカの平和を得るために戦ってらっしゃる!」
「ふははは! 平和か、笑わせてくれる。大地を血で染めた上での青い空にどれ程の価値があるというのだ? やっていることは我もあの女も変わらん。我らは等し
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