20部分:第二十章
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耶香は述べた。
「表に出る可能性は」
「わかりました。それでは」
隆美はそこまで聞いて決断を下した。
「あの二人を私の事務所で預からせて頂きます」
「それがよいかと」
「ところで」
「はい」
隆美はその二人に関して沙耶香に聞きたいことがあった。それを聞いてきた。
「あの二人はバイセクシャルですよね」
「ええ、そうですが」
「確か貴女もまた」
「それは御存知だと思いますよ」
沙耶香の目が細くなった。
「少なくとも女の子に関してはね」
「それではやっぱり」
「どうだと思われますか?」
「貴女が思っておられることと同じです」
「ふふふ、鋭いですね」
「それで楽しまれたのですか?」
「ええ、楽しかったですよ」
話しながら渋谷の夜のことを思い出す。それは実にいいものであった。
「かなりね。今でも身体が覚えています」
「そうですか」
「宜しければ貴女も」
沙耶香もそれに誘う。
「御招待致しますが」
「それまた自分でお伺いしますので。そういうことですか」
「ええ、そうですよ。何、狐と狸です」
沙耶香は述べる。
「危険はありません。御安心を」
「でしたらお言葉に甘えまして」
「それではこの話は終わりですね」
「お金はお話したところに振りこまさせて頂きました」
「早いですね」
「お金のことはしっかりとしておかないといけませんので」
流石にそこはしっかりとしていた。
「そうですか。それでは私はこれで」
「あの」
立ち上がり去ろうとする沙耶香を最後に呼び止める。
「何か?」
「今度御会いする時は仕事とは別のことで御会いしたいのですが」
「夜にですか?」
「はい、主人がいない夜に。宜しいでしょうか」
「ええ、それでしたらお待ちしておりますよ」
沙耶香の目が紅く妖艶に光った。
「銀座の夜で。場所は」
「バーで。ロゼのワインを頼んで」
「そうすれば私は何時でも現われます。では」
「銀座の夜でまた」
「御会いしましょう」
沙耶香は姿を消した。その後にはシャネルと花の香りが漂っていた。それはあの蘭の香りであった。その香りが何時までも事務所の中、そして隆美の周りに漂っていたのであった。まるで彼女を夜の宴に誘う様に。濃厚な退廃の香りを漂わせていたのであった。
黒魔術師松本沙耶香 銀怪篇 完
2006・10・5
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