第157話 戦準備
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きる何かがあったのかもしれない。
「世の中は広いのですね。私は医術の知識がありませんので神仙の技としか思えませんでした」
荀爽は正宗の返答で納得できた様子ではなかったが、自分の知識不足と考え一応納得している様子だった。伊斗香と桂花は正宗の話に納得していない様子だったが、部外者である荀爽の前で余計なことを言うつもりはないようだった。
「神仙か。私が仙人であるはずがない。もし、仙人であれば襄陽城に籠る蔡瑁の首を今すぐにもはねている」
正宗は荀爽の言葉に愉快そうに笑った。荀爽も正宗の笑いにつられ笑っていた。
「荀侍中、そういう訳で劉荊州牧とは今会うつもりはない。私達は戦支度を済ませ次第に冀州軍と合流するつもりだ。同行されるなら準備を済ませておくといい」
正宗は話を切り上げ、荀爽に準備をするように言った。
「ですが、劉荊州牧が戦場に出る冀州軍に接近する可能性はないでしょうか?」
「無理でしょう。もし合流すれば正宗様と共謀して蔡徳珪を亡き者にしようとしていると勘ぐられるのは落ちです」
伊斗香は荀爽の考えを切って捨てた。
「正攻法であればそう思われましょうが、市井の者に扮して車騎将軍に接近すれば分からないと思います。車騎将軍はお一人で市井を歩き回れていると聞き及んでおります。そのような方に接近するのは容易ではないかと存じます」
伊斗香は荀爽の話に渋い表情を浮かべた。彼女の様子から可能性は十分にあり得るのだろう。
「伊斗香、劉荊州牧は市井の者の服を着る程に外聞を気にしない者なのか?」
正宗の質問に伊斗香は考える仕草をした。
「劉景升様は外聞は気にする方です。ですが鳳子魚様を仕官させたいと考え、農民の身に扮して会いに行ったことがあります。正宗様に会うために農民に扮して接近してくることは十分にありえます」
正宗は伊斗香な話を聞きながら考えていた。
「その場合はお会いになられれば良いかと存じます。会う以上劉荊州牧も誰にも知られないように接近してくると思います。であれば密室で交わした話。劉荊州牧も正宗様と蔡徳珪討伐前に会っていた事実を表沙汰にすることはできないでしょう」
朱里が正宗に意見した。伊斗香も朱里の意見に賛成なのか肯定するように頷いた。
「荀侍中、劉荊州牧が農民に扮して会いにくれば避ける必要もないだろう」
「このことは劉荊州牧にお伝えしてもよろしいのでしょうか?」
荀爽は正宗に確認してきた。王允への手前、劉表を擁護するために動いた痕跡を残しておきたいのかもしれない。
「構わない。荀侍中自身で劉荊州牧に伝えに行くのか?」
「いいえ。この状況で私が南郡に向かうは蔡徳珪の配下者達に拘束されるかもしれません。ここは私の部下を庶
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