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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第157話 戦準備
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の目は完全に潰れる。蔡一族が粛清されれば彼女も権力基盤が不安定になるが、私の後援を得られればことは上手く進む」

 正宗は泉に対して説明した。泉は興味深かそうに正宗の話を聞いていた。荀爽と伊斗香は正宗の見識に関心している様子だった。

「正宗様の推測は正しいと思います」

 伊斗香は正宗の話を後押しするように言った。

「劉景升様がいかな存念で正宗様に会おうとしても荊州の豪族はそうは取らないでしょう。正宗様にあった事実が露見すれば、劉景升様の権威は失墜すると思われます。とはいえ会わずにいれば劉景升様も安心して洛陽に行けないのも事実でしょうが」

 伊斗香は正宗に淡々と意見を述べた。

「車騎将軍は劉g殿を推されるのですか?」

 荀爽は正宗に聞いた。

「無論だ。蔡瑁討伐が済み戦後処理を済めば劉g殿に会おうと考えている」

 正宗は笑みを浮かべた。

「恐れながら。劉g殿は御病弱で荊州統治に支障を来たすと存じます」

 荀爽は正宗に意見した。病弱の劉gを劉表の後継に押すのは無理があると考えたのだろう。

「確かに。劉g殿は病弱だ。だが私なら治療してやることもできる。劉荊州牧の態度次第だがな」

 正宗は意味深な笑みを荀爽に向けた。彼は「劉gを治療する」と明言しなかった。彼は劉gを治療するかどうかは劉表の態度次第だと言っていることが荀爽だけでなく周囲の者達にも理解できた。この世界の医療技術では劉gの病弱さを改善する術はない。秋佳の鼻を復元する医術を持つ正宗であれば、劉gの病弱さを治療することもできるかもしれない。

「車騎将軍、張允の鼻を如何にして治療されたのでしょうか?」

 荀爽は徐に正宗に質問した。彼女は話の流れを利用して気になっていた張允の鼻のことを聞いたのだろう。張允の鼻は完全に復元されていた。常人の力とは到底思えない。神仙の技と言っても可笑しくはない。

「私は幼少の頃より医術に興味を持っていてな。たまたま深い傷を治す術を見つけただけだ」

 正宗は飄々と言った。

「通儒と評される程の祖父様がおられる車騎将軍が医術に興味を持たれていたのですか?」

 この時代は医術の地位は低い。にも関わらず儒者を祖父に持つ正宗が医術を学ぶ土壌があるとは思えない。荀爽は正宗の言葉に違和感を覚えたのだろう。

「医術を下賤の学問と申す者もいるが、貶す者もまた医術の世話になっている。私は儒学を軽んずるつもりはないが、知識は所詮知識。役に立つ知識を学ばないのは損というものだろう?」

 正宗はくすりと笑い荀爽を見た。荀爽は正宗を「変わったお方だな」と思っているような表情を浮かべていたが、直ぐに関心したような表情で正宗のことを見た。荀爽は学者肌の官吏である。正宗の知識を求める姿勢には共感で
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