2部分:第二章
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第二章
「一体何が起きているのですか」
沙耶香は問う。
「薬ですか?それとも」
芸能界に付き物と言われているのがドラッグとセックスである。真実はわからない。現にこの渋谷でも噂がよくある。だが隆美はここで奇妙なことを口にした。
「セックスの方です」
「悪い男ですか。誰ですか?」
ふと自分のことも思い出して言う沙耶香であった。
「それとも。女ですか」
「女です」
隆美は考える目で述べた。
「同性愛者ですか」
「実はこの業界にも多くて」
「そうでしょうね」
これは沙耶香にとっては実に納得のいくことであった。彼女ならではである。
「女が女を愛することは自然ですから」
「自然ですか」
「そちらはわかりませんか?」
「男同士ですとよく聞きます」
隆美はそう答えた。
「誰かと誰かは付き合っているとか。うちは薬も男も厳しくしているのでそうしたことはないと思っていましたけれど」
「女には頭が回らなかったのですね」
「ええ」
そのうえで答える。
「まさかと思いました」
「そんなに理解できませんか」
「正直嘘のようです」
隆美は狐につままれたような顔になっていた。
「女同士は」
「男同士は何となくわかっても」
「あの、女が女をというのは」
隆美は眉を顰めさせていた。嫌悪さえ感じられる。
「やっぱり。不自然ですよね」
「どうでしょうか」
しかし沙耶香はその言葉に何故か笑みを返した。
「そうともばかりは言い切れないかと」
「どういうことですか?」
「同じということなのですよ」
「同じ!?」
「はい」
沙耶香のその漆黒の瞳が妖しく光った。目の奥の光だけで笑っていた。
「男を愛するのも女を愛するのもまた」
「はあ」
言われてもやはり実感が沸かない。
「貴女は御主人がおられましたね」
「え、ええ」
隆美はそれに答えた。これは本当のことで彼女の夫はある有名な俳優である。夫との間に娘が一人いる。性のことにも人並みに知識はあるのだ。
「けれどそれが何か」
「おわかりになられないですか。女同士で肌を重ね合わせるのもまたよいことなのですよ」
そこまで言うと沙耶香はカップを置いた。そして姿を消す。
「えっ!?」
突如として姿を消した沙耶香に驚きの声をあげる。だが次の瞬間。
「ここです」
前から声がした。すると自分の顔の側に沙耶香の顔があった。
「えっ!?」
「女同士がおわかりになられないのですよね」
至近で隆美の目を見据えて問う。
「どの様なものか」
「だって私は」
「ですからそれを教えて差し上げましょう」
沙耶香は言う。
「今からね」
「今から・・・・・・」
「怖れることはないのです」
まるで頭の中に直接語り掛けているようであっ
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