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黒魔術師松本沙耶香  銀怪篇
2部分:第二章
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た。不思議な言葉であった。
「全てを委ねられるのです。そうすれば」
「しかし私は」
 拒もうとする。彼女はその為に世の摂理を出した。
「主人と。それに子供が」
「それは相手が男の場合でしょう」
 だがそれはこの場合は通じなかった。元より影の世界にいる沙耶香には表の世界の摂理なぞ通じる筈もないのであるが。
「ですが女ならば」
「女ならば」
「裏切りにはならないのですよ。何故なら貴女は御主人以外の異性に肌を許すわけではない」
「同性に」
「はい、同じ女に」
 そう囁く。
「さあ、ですから」
 さらに囁く。
「委ねるのです。新たな快楽に」
「新たな快楽に」
「今から」
 唇を奪い舌を吸う。それからソファーにゆっくりと押し倒し服を脱がしていく。自分の服も。二人はそのまま女同士だけが知ることの出来る世界へと入って行ったのであった。


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