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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第170話 過去の闇
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とだが、結果的に母親と娘は無事で、自分だけが重症になったのだ。
その後も不運は続いた。
助け出されたのはその事故の更に6時間後だった。その事故の衝撃で端末類が全て破損したからだ。幼い詩乃は勿論、母親も脚の骨折のせいで動けない。だから、まだ生きている筈であろう父親を黙って見ている事しか出来なかったのだ
その日を境に母親は変わった。
いや、少しだけ心の奥まった部分が壊れてしまった。父親と知り合う以前の10代の頃にまで、巻き戻ってしまったのだ。それまでの父親との思い出の品や遺品の全てを処分し、一切思い出を語ろうともしなかった。ただ、ひたすらに平穏と静寂のみを欲する、鄙の少女の如き生活を送るようになったのだ。
だが、幸いにもそれでも詩乃に対する愛情までも失ってしまった訳ではない。
その事故の後も変わらず詩乃を愛してくれた。
だけど、母親は常に、儚く傷つきやすい少女のような姿。詩乃は自分がしっかりしていなければと思うようになり、母親を守らなければと思うようになったのだ。
時には押し売り、時には悪質な電話の対応。
実家に帰り、祖父母達が外出している間、できる事、全部詩乃はやった。この時もずっと思うのは母親を守らなければならないと言う使命感だった。
だから、多分必然だったのだと、詩乃は思った。
――あの事件が起きたのは。
それは、ある日の土曜日の午後。
詩乃と母親は、連れ立って近所の小さな郵便局に出かけたのだ。客は自分達2人以外はひとりもいなかった。母親が窓口に書類を出し、手続きをしている際、詩乃は局内に備え付けられているベンチに腰をかけ、自分の楽しみの1つである読書をしていた。その時、何を読んでいたのかは、今でも思い出せない。
そして、それは突然やって来た。
ドアが鳴る音がして、顔を上げると、ひとりの男が入ってくるのが見えた。別に郵便局なのだから、と気にしていなかったけれど、何か目が離せなかった。その男は、灰色っぽい服装で、片手に大きなボストンバックを下げていたやせた中年男性。局内をぐるりと見渡した後、突如窓口で手続きをしていた詩乃の母親の右腕を男はいきなり掴み、そのまま後ろに引き倒した。いきなりの事で、母親は声も出せずそのまま倒れ込み、ショックのあまり、目を見開いて凍りついてしまった。
突如襲われた理不尽な暴力。
詩乃は当然母親を守らなければ、と声を上げようとしたのだが、男の方が早かった。男が取り出したのは、黒く光る
何か
(
・・
)
。
「この鞄に金を入れろ!!」
――……コノカバンにカネをイレロ。
一体何を言っているのか、周囲の人、即ち職員の誰1人としてこの時は理解出来な
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