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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第170話 過去の闇
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ンゲイル・オンラインに存在する光学銃の1つだ。そう、現実には存在しないたかがおもちゃ。
――大丈夫、だいじょうぶ、ダイジョウブ……、だ……。
誌乃はこの時、グリップを握った掌から体温が奪われていく錯覚に見舞われた。そして、目に見えない無数の鎖が銃から生まれ、自分自身を縛り上げていく。
――なに、これは? だ、だれ……? だれの?
そして、握っている銃はやがて熱を持った。
まるで生きているかの様に熱をもち、冷や汗で湿った詩乃の手にその生暖かさが伝わる。伝わると同時に、詩乃は誰か他人の気配を感じた。……今日突然背後に感じた様なそんなモノじゃない。
ドス黒い、何かを感じたのだ。
それを認識するやいなや、詩乃はもはや鼓動は抑え様もなく早まってしまう。まるで、身体中に蛇がまとわりつき、身体の中を駆けずり回っているかの様に感じる。立つ事なんて、もうできない。足に感覚が無い。
だけど、詩乃はその手の中にある黒い銃だけは離すことが出来なかった。耳鳴りが始まり、そして甲高い絶叫へと変わる。幼い少女の純粋な恐怖にまみれた叫び声と共に……。
――だれの、ひめい? それは……わたし。
自分自身だと認識した瞬間、脳裏にフラッシュバックした。
それは、誌乃がまだ幼かったあの日の出来事。
あの悪夢の記憶。
詩乃は父親を知らない。
それは、記憶がない、と言う事ではなく、文字通り全く知らないのだ。父親については、顔写真や映像すら一切無い。この現代社会、思い出を残す為の道具は無数にあるのだが、それでも何一つ、一切残っていなかった。その原因は、彼女が僅か2歳の頃に起こった交通事故にあった。
事故が起きたのはとある県境の山奥。
斜面に沿って伸びる片側一車線の旧道で悲劇は起きた。もう深夜の時間帯、詩乃の家族が乗車していた乗用車に1台のトラックが衝突した。それは、状況証拠、現場に残された痕跡から、カーブを曲がりきれずに対向車線に膨らんできたトラックが原因だと断定された。が、本当の真相はもう明らかにはできない。何故なら、トラックの運転手は事故を起こした直後、フロントガラスを突き破って路面に投げ出されてほぼ即死をしてしまったからだ。
だが、詩乃の家族はもっと悲惨なモノだった。
父親は意識不明の重症でありながらも、即死には至らなかった。母親は、脚の単純骨折、詩乃はチャイルドシートに守られて無傷。
運転手の心理として、咄嗟に起こった事故の時。反射的に己の身を守ろうとする為、比較的助手席の方が死亡率が高い。だが、父親は最後に何かを思ったのだろうか、或いはただの偶然なのだろうか、今となってはもう誰にも判らないこ
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