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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十三話 収斂
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艦隊の速度を上げている、こちらを捕捉しようとしている……。
「距離は?」
「未だ詰められたとは思えません。こちらも速度を上げています」
「ハイネセンには伝えたか?」
「はい」
「指示は?」
「特にありません」
指示は無い、つまり作戦は順調と判断して良いのだろうか。ヤン・ウェンリー、ビュコック司令長官はこちらを目指して動いている?
分からんな。ヤン提督が近付いているなら、帝国軍と接触したのなら帝国軍は速度を緩める筈だ。それが無いという事はヤン提督は近付いてはいるのだろうが未だ帝国軍に接触はしていないという事だろう。分かっていた事だがやはりエルゴン星域での合流は無理だったか。
帝国軍が進攻速度を上げている。良くない兆候だ。何処かで帝国軍を足止めする必要が有るな。このまま後退し続けてはビュコック司令長官との挟撃が不可能になりかねない。帝国軍を足止めするためにはヤン提督の艦隊が必要なのだが今どのあたりの居るのか……。
どうにも不安だ、だが不安そうな表情は出来ない。艦橋はビューフォート参謀長を始め多くの人間が不安そうな表情をしているのだ。俺まで不安を表に出せば将兵の不安は際限なく広まり深化するだろう。皆の視線を感じた。俺が不安を押さえなくては……。
「では予定通り我々はシヴァ星域方面に撤退をする」
ビューフォート参謀長を始め皆が頷いた。そうだ、予定通りなのだ、慌てることは無い。溜息が出そうになって慌てて堪えた。
帝国暦 490年 3月 30日 エルゴン星域 帝国軍総旗艦ロキ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
帝国軍イゼルローン方面軍は順調にハイネセンを目指している。前方に同盟軍の一個艦隊が居るが彼らにとっては六個艦隊が押し寄せてくるのだ、相当なプレッシャーだろう。神経性の胃炎で胃薬を必要としている人間も多い筈だ。医務室は大繁盛に違いない。
指揮官は誰かな? カールセン? オスマンかな? それともホーウッド? アップルトン? 或いはウランフ? まあ誰であろうと御気の毒な事だ。カールセンは猛将だがオスマンは如何かな? 宇宙艦隊総参謀長を務めたのだから参謀タイプ、知将タイプだと思うんだが実戦経験は如何だろう。少なければ苦労しているかもしれない。疲労が重なればミスを犯す可能性が高くなる。絶えず圧力をかける事だ。
俺が作った作戦計画書は統帥本部の参謀達に修正された。惑星ウルヴァシーを占領して補給基地化するらしい。まあ当初の予定に入っていたから捨てるのは惜しいって事なんだろう。俺としては同盟軍に決定的な打撃を与える事が出来なかったから兵力を分散させる事なく集中して使った方が戦争を早期に終わらせる事が出来ると思ったんだが統帥本部は長期戦のリスクを重視したようだ。
統帥本部が慎重になるのも無理は
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