彼とマケンとホッケー対決
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葉を反芻するように呟いた。
そして息を吐き、ゆっくりと顔を上げる。
「それで、肝心の能力は一体?」
「ああ、それはな―――――」
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『マケン』を手に入れ、能力を聞き、海童は意気揚々と統生会室へ向け駈け出して居た。
会議には遅れたが留学生の紹介や『マケン』の件もあり、何か言われると仮定しても、ソコまで咎められることはないだろう。
「よし、やっと俺にもマケンが…………ん?」
未だ左手を時折見ながら走っていた海童……だが、その歩みは唐突に止まる。
まだ会議や自己紹介、今後の日程の話し合いなどの最中である筈なのに、皆揃って何処かへ向かっているからだ。
これが疎らならばまだ間に合わなかったで済むのだが、皆一緒にというのは如何もおかしい。
「碓、これは?」
「……屋内プールに移動だと」
何やら疲れた顔で進行方向を指差す碓に海童は眉根をひそめ、しかし着いて行かなければ話にならなそうだと取りあえず歩き始めた。
その道すがら、碓はこうなった経緯を話始める。
曰く―――――夏休みまで統生会の一員となる五人の少女が、それぞれ自己紹介をしていたらしい。
彼女等は何でも『カミガリ』と呼ばれる組織の一部隊らしく其の隊には『Venus』との名が付いているのだとか。
桃色ロングでカチューシャ、目の中にハートが浮かぶ少女、シリア・大塚。
青い髪を持った何処か冷徹な雰囲気漂う少女、ミディア・デミトラ。
フリルのついたヘッドドレスを付ける少女、アイリル・フィニアン。
リールと同じ容姿を持つ……所謂双子の内一人、リール・フィニアン。
……までは良かったのだが、中国人らしきサイドテールの少女、ヤン・ミンが自己紹介する事を渋ったらしい。
それだけに留まらず、自分達だけで学園の治安を守る事は簡単であり、だからマケンキは必要ない為、自分達のいる一学期の間は休んでいればいい、と言い放ったのだ。
しかも黙ったままのフィニアン姉妹やフォローしたシリアはともかく、デミトラまでヤン・ミンの意見に同調したのだと言う。
無論、それを宣言するに足る “実力” がある事は雰囲気から皆つかめては居たのだが……分かってはいても納得いかないのが人間という生き物。
耐えきれなかったアズキが堂々顔を合わせ文句を混ぜて挑発し、対するヤン・ミンも何処で覚えたか分からない日本語を交えてそっくりそのまま返す。
結果決闘騒ぎまでもつれこみそうになった所で―――穣華が『マケンキ内での決闘はご法度だから、別の事で白黒つければいい』との助け船を出した。
だから今、その勝負を行う場所まで足を運んでいる
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