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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼とマケンとホッケー対決
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、しかし動作そのものは冷静なままで、その衝撃波に対処すべくスティックを構えた。
 ガタガタとスティックが震える程その周りに濃密なエレメントを纏わせ、水を集めて壁とし、静かな叫びと共にパックを衝撃波ごと突き穿つ。


「ぬうぅ……はああぁぁっ!!」


 そして気合一声――――何と、有ろう事か……デミトラはその強烈な一撃さえも、見事に防ぎきった。
 スティックこそ砕けてしまっているが、その実力は見事というほかない。

 そしてデミトラのスティックの先端が吹き飛ぶのと同時に、余りの威力に放たれた方も耐えきれなかったか、海童のスティックの三分の一も木端と化していた。
 その事から恐らく、放たれた衝撃はそのものもまた、本来の威力が出せていなかった事を窺わせる。


 海童とデミトラのせめぎ合いの結果、パックは高々打ち上げられ、遥か中空に舞い上がる。


「最高の一撃だぜ海童っ! 今度は私が決めなきゃな!!」


 パックを追いかけてアズキも跳び上がり、スティックを振りかぶる……その前を影が通り抜けた。

 ヤン・ミンもまた瞬時に追い縋り、跳び上がってきているのだ。


「驚いタ、そして惜しかったケド……スピードや跳躍力は私の方が上だったみたいネ」
「へぇ、確かにそうだな……が、その前にテメェの格好確認した方が良いんじゃねぇか?」


 一体何を言っているのかとヤン・ミンが首を傾げ、されど自身の身体に異様な違和感がある事に気が付く。

 瞬時に下へ目線を傾け……二の句が継げなくなった。

 アズキが脚の指先で気様に、ブルマとパンツを抓んでいるのだから。
 つまり今のヤン・ミンは―――――下半身丸ごと素っ裸。


「なっ!!」
「「「あああぁっ!?」」」
「……やれやれ」
(わり)いなぁ。私、足癖悪くってよぉ?」
「!!!!??????」


 海童は咄嗟に視線を逸らし、観覧席から多種多様な声が上がり、赤耶が嫌に落ち着いて声音で首を振る。
 当人であるヤン・ミンは声にならない悲鳴を上げ、顔をトマトの如く真っ赤に染める。

 こうなっては流石に勝負どころではなく、慌ててスティックを放り出し下半身を隠した。

 そして必然的に、パックを打てるのはたった一人。


「いっけぇっ!!」


 気炎を含んだ掛け声高らかに、アズキの手により打ち放たれた。
 空中から得物を狙う隼の様に、パックが鋭く音を上げデミトラへ襲い来る。

 ……否、《シュート》はまだ終わらない。


「ゼェァアアアアッ!!」


 瞬時に思考を切り替え突っ込んで来る、海童の手により放たれた強烈な刺突式『衝撃波』が後押しして、今までにないスーパーシュートと化したのだ。



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