彼とマケンとホッケー対決
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しだす。
「そのパック、実は超強力な洗剤を高密度で固めたモノなんでーす。これでプールもピッカピカ?」
「あなたの仕業ですかーーーっ!!」
春恋はやりたくないホッケーをやらされていた鬱憤もあってか、悲鳴混じりの非難の声を上げた。
しかし、『Venus』チームは―――ヤン・ミンはすぐにパニックから持ち直し、笑んでいる。
「デミトラ!」
「わかっている――――― 『“水よ”!』」
聞き慣れぬ言語で呪文らしきものを唱え、最後に“意味”の伝わる単語を叫び手を前に付きだしたかと思うと、泡が一気に左右へ割れて行く。
如何やら泡が生まれる元凶となっている水をエレメントで操作し、『Venus』専用の道を作り出したらしい。
「コレでカタ付けてやるヨ!」
「OKッ?」
お陰で悪戦苦闘する『マケンキ』チームに対し、『Venus』チームは先と変わらぬ勢いで攻め込んできた。
春恋の立っている右寄りを避けてくる彼女等に、アズキは声を上げざるを得ない。
「春恋、来るぞ!」
「わ、分かってるけど脚が取られ…………きゃあっ!?」
「ハル姉!!」
下手に動けないのに慌てた所為で脚をもつれさせ、背中から転んでしまう春恋。
オマケに地面もヌメヌメしているので、簡単に立ち上がり持ち直すことができない。
『マケンキ』チームにとってはこの上ないアンラッキーで―――『Venus』チームにとってはこの上ないチャンスだった。
「シリア!」
「ハイッと……ちょっとヒキョーな気もしますケド、勝負事で恨みっこ無しですヨ!」
泡に脚を取られていない事もあり、シリアが抜群のコントロールで目の前に来たパックに狙いを定めて、スティックをゴルフグラブの如く振りかぶる。
そして最後に決定打を得るべく、確りとゴールラインを見据える。
「やるしかねぇ……俺が守る!!」
「カ、カッちゃん!?」
「Oh……?」
……何故か瞳のハートを大きくした。
「あっ……シマッた!」
「何やってるネ!?」
動作そのものはこの試合で染み付いていたか止まらなかったが、振り方が雑になっている。
気を取られていたかパックはゴールライン横から逸れ、壁にぶつかって海童の手元に収まって行った。
海童はそのままデミトラを見据え、スティックをギュッと強く握りしめた。
「よしっ……!!」
最初で最後のチャンスだと海童は気を引き締め、まずシリアの横を通り抜ける。
「この……やらせるカ!」
「こっちのセリフだっつーの!」
「……!」
妨害しようとしたヤン・ミンもまた、アズキにブロックされ追いすがれ
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