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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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食った痛み』と表現したのだろうか。
そして、その時だ。
「あれ、朝田さん?」
座っていたベンチの二軒先にある建物はゲームセンターの方から声が聞こえてきた。そして、そのままゆっくりとした足取りで近づいてくる。
「……あ、新川君」
詩乃は少年の名前を知っていた。
彼こそ、詩乃がこの街で唯一気を許せる……いや、少なくとも的ではない存在だと言える人物であり、ここではないもうひとつの世界では戦友と言っていい間柄の少年だ。
「え、えっと……あ、朝田さん? そちらのひとは……?」
やや、動揺している様に声をかけてくる。
その心の機微については、彼は判るよしもないが、やや離れた位置で見ていた初老の男には直ぐに判った。
あの彼女に好意を持つ少年なのだ、と言う事に。
そして、彼女も普通に名前を言っていた所を見ると、情報はないものの少なくとも信頼はできる人物だと言う事も判った。
「え、えっと、彼は……「ちょっと、オレが 道に迷ってしまってね。道を彼女に聞いていたんだ」っ」
彼はそう言うと、立ち上がった。
「どうもありがとう。ここからは『大丈夫』……だから。そっちも『大丈夫だよな?』 さっき、小銭、落としていたみたいだけど」
《大丈夫》と言った部分をやや過剰に強調した。
その真意は詩乃は直ぐに判った。言葉の中にある《小銭》云々は、全く関係ない。彼は『大丈夫な人なのか?』と言う事と、『後は大丈夫だな』と言う事を話の中に含めていたのだ。
でも、詩乃は納得をしているわけではない。
貸し借りと考えたくないけれど、それでも借りっぱなしと言うのは性分じゃない。……そして、何よりも、助けてくれた事に対して、ちゃんとお礼も言いたいし、さっき言った言葉の、心に巣食う痛みの真意も知りたかったから。
でも、弱い今の自分の事だ。おそらく、弱さが顔に現れているのだろう。そして、彼がそれを見透かした。無理しているのだろうと、汲み取った。
自分の意思で、動かない、動けない事に苛立ちさえ覚えるのだが、今の弱い自分にはどうすることも出来ない。
だから……。
「う、うん。大丈夫。ありがと、『奢ってくれて……』 今度、『私が奢る』から、ね」
「……ああ。楽しみにしてるよ」
そうとだけ、せめてにと返した。
今度がちゃんとあって、そしてその時こそ、ちゃんと謝れる様に。
彼は、それを聞いてにこりと笑うと、少し離れた所で待機していた初老の男の人の下へと歩いて行って、合流していた。軽くお辞儀をする彼と、一糸乱れぬ作法を持って頭を下げる仕草を見たら、誰だって恐縮してしまうだろう。
状況がいまいち判っていない 新川もやや驚きを隠せない様子で、ぼうっとして
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