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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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の事はしなければならない。それを見誤らない事です。過剰防衛と正当防衛は紙一重ですから」
「……うん」
そう言うと、彼は背広の内ポケットに手を伸ばした。そこから取り出したのは高級そうな財布。詩乃が何をするのか、聞くまでもなく、くるりと向きを変え、傍に置いてあった自動販売機へと向かった。
そして、持ってきたのは温かいお茶だ。
「今日は一段と冷え込む。お飲みなさい」
「ぁ……ぁの……」
「遠慮は無用ですよ。突然の事が連続で混乱しているでしょうが、少し身体を温め、落ち着いてください。そして、落ち着けたら誰か呼びましょう。保護者の方は傍にいますか?」
「い、いえ……わ、私は、その……ひとり、暮らしなので……」
「……そうですか」
その歳で、頑張ってきたのだろう、と思った。学生の身での1人暮し、と言うのは別段珍しいものではない。だが、制服を見た所、某都立高校だと言う事が判り、そこから必死に勉強し、頑張ってきたのだろう、と言う事は想像するのは難しいことではない。
「……あの、ありがとう……ごさいました。わ、私は大丈夫、です」
「いやいや、私は何もしておりませんよ。ただ、お茶をご馳走しただけで……、ああ。坊ちゃんに対して、ですか。 坊ちゃん」
「あ、うん……。(爺や、お願い…… 坊ちゃんは ちょっと止めて)」
「ほほ……、承りました」
最後のやり取りは聞こえなかった。
ただ、にこりと笑うと本当に正しい姿勢、歩き方とはこういう事を言うんだろうなぁ……と思わせる様な歩き方で、少し離れていった。
「あ、あの……えっと。さっきは……」
「……無理するな」
「ぇ……?」
詩乃は、必死にお礼を言おうと言葉を絞り、頭を下げていたのだが、顔を上げた。
「……何か、合ったんだろ? 助けた、なんておこがましい事は言わないよ。余計な事、とも言えないか。……あのまま、見過ごす真似はオレには出来なかったから」
「い、いや、助けてくれたよ。……私の方こそ、御免なさい。助けてくれたのに、私はずっと貴方のことを」
『怖がっていた』、と詩乃は言いかけたが口を噤んだ。
弱い所を見せたくない、と言う思いがここでも僅かながらに残っていた様だ。感謝はしている。改めて、感謝は、本当にしているんだ。それでも、弱い自分を乗り越えなければならない。
その強い思いが心にあるから、それが悪い方向へと向かってしまった様だ。
「……心に巣食った
痛み
(
・・
)
は、簡単に取れるモノじゃない」
「っ……!?」
詩乃は、その言葉を聞いて、驚いた。
――……なぜ、なぜ彼はそう思ったのだろうか?
状況から見ると、《カツアゲ》《暴行》《ケンカ》が連想される状況だろう。
他にも幾つか思いつくのに、なぜ彼は『心に巣
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