暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
[7/11]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
この地面に座ってたら、制服が汚れるぞ」
そう、忠告をしつつ、まだ苦しそうにむせている彼女の手をしっかりと引いて、この路地裏の奥から連れ出したのだった。
取り巻きだった2人も全く動く事が出来ない。ただただ、唖然として2人を見送る事しか出来なかった。
そして、アーケード通りまで出てきた所で、彼は誌乃の手を離した。
「大丈夫か? ……その、悪かった。いきなり手なんか握って」
そう言うと、握っていた手を離した。彼女はまだ震えており それが止まる事は無かったのだ。
「ぁ……」
詩乃は、驚いてはいたものの、不快感はいつの間にか消え失せていた事に改めて気づいたのだ。
震えは確かに止まらない。だけど、守ってくれた、連れ出してくれた事にもあっただろう。
まだ、100%信用出来る、信頼できるとは到底思えないが、助けてくれた事は事実。だから、お礼をと、どうにか言葉を出そうとしたその時。
「隼人坊ちゃん」
「っ……!?」
今日は比較的人通りが少なく、今さっきも1人も居なかった所に、いつの間にかいる人がいて驚いた。……今日は、何だかこんなのばかりだ、とも頭の何処かも余裕が少し、生まれた様でそう思ってしまう自分もいた。
「あ、えっと。ちょっとあってね」
振り向き、誰が来たのかを確認すると、少し申し訳なさそうにそう言う。なぜ、そんな表情を?と詩乃は思った。さっきまでは、拒絶反応からか、恐怖すら感じたのだが、今のその表情にはそんな物は感じられない。ただ、なぜそんな表情をするのかだけが気になっていた。
「言われた事の、半分は守れなかった。守るモノって事はそうだけど……、その、怪我をさせかけてしまったよ……」
彼は申し訳なさそうにそう話した。……でも、詩乃はまだ意味が判らない。
――半分? 守れなかった?
一体どう言う意味……、とメガネの奥でぱっちりと開いている目を何度も瞬きをさせた。
「ほほ……。大丈夫ですよ。坊ちゃんはしっかりと私の言った事を守ってくださいました。誇りに思うこそあれ、咎めなど知ません。……それに、お嬢様が混乱なされてますよ」
「……ふぇ?」
詩乃は、突然自分の事を《お嬢様》などと言われて、思わず声が裏返る。
そんな風に呼ばれた事など一度も無いし、もう1人の男の人は慈愛の表情は、コレだ。とお手本を見せているかの様に笑っている。異性とは言え、ひと回り、ふた回り以上は離れているであろう初老の男。佇まいから、執事か?とも思える身のこなしを見て、少し、安心に繋がったのだ。
そして、何処かの偉いヒトなのか?とも思った。
「確かに、暴力はいけない事です。……が、暴力から身を守る為に、最低限度
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ