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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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いる下衆がいない訳がない。……いなくなる訳も無い。
そして、ゆっくりと視線を向けた。
「この子、見た所、気分が悪い様だ。……悪いけど、ソコ、のいてくれるか?」
心底侮蔑する様な表情を見せた。
その顔にキレたのか、或いは それ以前からなのか判らないが。いきり立ちながら手を上げた。
「ふざけんな、邪魔すんじゃねえ!」
振り上げた右手を思い切り下ろす。
詩乃はここでも見誤っていたのだ。激高した人間と言う物は、簡単に手を出すと言う事を。
幾ら、いい子を見繕っていても、裏では、本心では他人の痛みなど考えずに行動する凶暴性、残虐性とも言えるものを内包しているのだから。一線を超えたら、躊躇と言うものも無くなると言う事を。
そして、何より相手は男だ。
遠藤は、仮に問題になったとしても、オンナ同士ならともかく、オンナとオトコの警察の扱い方と言うものは違うし、何より、『オンナに殴られた〜』なんて情けない事を言うオトコもいないだろうと思っていたのだ。
振り上げられた右手は、目の前の男の左頬を狙っている。平手打ちだ。
重力と腕力を利用し、弧を描く様にその左頬へと向かった途中。“ぱちん”と言う音が響いた。まだ、手は相手の頬にはあたっていない。頬に当たる寸前。何か別の所に当たった様だ。
「……簡単に女の子が手を上げるものじゃないぞ」
「……はっ?」
男は、平手打ちを左手の甲で受け止めていたのだ。淀みない速度、動きで。
「手前ェっ!」
遠藤は当たると思っていたのに、と驚いていたが今度は左を振り上げる。そのまま、右頬へと平手打ちを放ったが、それも止められた。止められたと同時にだ。
「いたっ……!」
遠藤は 急に鈍い痛みが左手首に感じた。
「ぁぐっ!?」
そして、『痛い』と感じたと同時に反射的に動いて、いや動かされてしまった。思わず身体が反射的に逃げようとし、身体のバランスを崩したのだ。
「っと」
そして、バランスを崩し、倒れそうになったその時、異様な痛みを感じたその手は離され、そして空いた片方の手で崩しかけた彼女の身体を支えた。
「悪い。条件反射が出てしまった。(そうだった。手を出すのは、男として最低、……だったな)」
最後の方は何を言っているか、判らない。
だけど、遠藤の目には最初に見えていた大人しそうな、と言う部分が一気に霧散。射抜くような眼光、そして 今まで感じた事の無い痛みを生んだその手。見た事の無いバケモノの様に思えてしまった様だ。喧嘩慣れしている風にはどうしても見えない。その事からも、目の前の男を測る事が全くできなくなってしまったのだ。
遠藤は、思わず地面に座り込んでしまう。
「……こ
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