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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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そう、声をかけられても何も言えないし、言える言葉も見つからなかった。助け舟を出してくれているとはいえ、相手は知らない男だったから、と言う事が多少なりとはあるだろうが、今はそれ以上に精神が不安定だったのだ。
「って、おい。おいおいおい!なんなんだよ、テメエは」
いきなり現れた来訪者、現れた男に驚きを隠せなかったが、遠藤は直ぐに調子を取り戻した。男の声だったから、かなり警戒をしていたのだが、見た所同い年か僅かに上だろうか。背丈は自分達よりも高かったが、全体の印象的には線の細い身体。
帽子をかぶっており、表情はそこまではっきりと、しっかりと見えなかったが、何処か大人しそうな男、が第一印象。
こちらは人数で圧倒しているし、そんな優男、部外者が突然入り込んできて、いきり立った様だ。
「これぇ、ウチラの問題じゃん? 何? 正義の味方ごっこでもしてんの?」
強気な姿勢のまま、現れた男の方へと向く。他の3人も同じだ。
男は、ゆっくりとした動作で、詩乃の手を握ろうとする。
「ひっ……!」
当然、詩乃の身体は更に萎縮した。
この目の前の少女が、何をそこまで怯えるのか、その根源は判らない。ここに近づいた時ははっきりと立っていたし、言い返しもしていた。
この遠藤と言う者が言う様に、彼女達の問題で、解決も出来そうだ、と思ったのだが、突如状況が一変したのだ。
指先を突きつけられた少女は、力なく倒れそうになった。あれが、
引き金
(
トリガー
)
なのだ、と言う事は 見たとおりだった。このまま、ここで倒れていても状況がよくなるとは思えないし、何よりこの連中に任せていたら、この少女がもっと酷い事になるのは目に見えている。
そして、何よりも、彼は彼女の目の奥に宿っている黒い何かを感じ取ったと言う事もある。
――……嘗て、自分もそうだった、持っていたモノに。
だから、あまり、他人に強く接するのは、この世界ではない事だったが、致し方なしと判断したのだ。ここまで、入り込んでいて、今更何もせず、何も言わずにbye-byeする訳にもいかない。
「悪い。ちょっと我慢をしてくれ」
「ぇ……」
詩乃は、僅かに驚いたが、返事を返す事も出来ずに、成すがままだった。男は詩乃の手を取り、立たせたのだ。
「なんだぁ? マジでなんなんだよオマエ。 正義のナイトサマ気取り? マジウケんだけどー」
ここから連れて行こうとする男を遮る様に立つ3人。
――……何処の世界にも同じだ。何処の世界でも下衆はいる。本質的には同じなんだろう。仮想でも、現実でも。
この時、彼は心底思った。現実だろうと仮想世界だろうと、根底は同じだと言う事だ。影に蔓延んでいる、潜んで
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