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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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行くからそこをどいて」
詩乃は低い声でそう言う。たとえ、どれほど切れたポーズを取ろうとも、言われようとも、遠藤達に実際の行動に出る度胸はない、と踏んでいた。
そこそこ名門であるあの高校。素行不良でも起こせば、退学になりかねないし、警察沙汰になるのは以前の一回でこりている筈だ。そして、以前にも保護者同伴の面談の際に見た彼女達の顔を見て一目瞭然だった。
……家ではそれなりに普通のいい子にしているという事。
ただ、高校で日頃の鬱憤を晴らそう、とか、高校で武勇伝を、と子供じみた考えを持っているのだろうと言う事を。
だが、詩乃よりも遠藤の方が上手だった。
どうすれば、詩乃が苦しむのか、それを全て熟知しているからだ。再び口元が歪む。そして、芝居じみた行為をする様に、ゆっくりとした動作で右手を持ち上げ、詩乃の眼前に向ける。それの構えは、親指と人差し指で作るポーズ。子供だったら、誰しもがした事があるであろう、拳銃を模す時の構え。
遠藤が狙ったのは、詩乃の精神だ。
まるで射抜かれたかの様に、詩乃は硬直した。そして全身を冷気に包まれた様な感覚にも見舞われる。心拍数もどんどん上がり、足元も覚束なく、目に映る光さえも消える様な感覚にも見舞われた。
「ばぁん!」
いきなり遠藤が叫んだ途端、詩乃の喉から補足高い声が漏れた。身体の奥から震えが込み上げ……、倒れそうにさえなる。
「なぁ、朝田ァ……、こんな指じゃ物足りないだろぉ? 今度、持ってきてやるよ。モデルガン。兄貴が何個か持ってんだよなぁ」
左手で、胸ぐらを掴み、そして眉間に押し付けんばかりの勢いで右手、人差し指を突きつける。……それと同時に目の前が真っ暗になってしまう。そのモデルガンを想像しただけで、胃が収縮してしまう。ガタガタと震える詩乃を、ニヤニヤと見つめる3人。
その時だった。
「たった1人相手に、3人掛りとは感心しないな。……たとえ、女の子であろうとも」
「ッ……!?」
突如、背後から声が聞こえてきた。遠藤は驚き、思わず詩乃を掴んでいた左手を離し、振り向いた。
「あっ……」
詩乃は、左手には解放されたが、その左手で支えられていた状態だった為、もう立つ事も難しくなり、地面に座り込んでしまった。その衝撃で、カバンを前、遠藤をすり抜け、前の方にまで飛ばしてしまう。その中には、今日買った野菜が入っているのだ。散乱してしまうかもしれなかったが、詩乃は何も考えられなかった。
「……っと」
そのカバンは、新たな来訪者のすぐそばにまで、飛んだ様であり、それに手を伸ばして掴む。そして、突然の事で半ば呆然としている3人の間を縫って、座り込んでいる彼女の傍まで来た。
「……大丈夫、か?」
「ぁ……」
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