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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第169話 現実の痛み
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口を噤んだ。
隼人がいわんとしている意味が直ぐにわかったからだ。
隼人は、あの手を指し伸ばした時に、詩乃の目を見ている。何処か、何処かで見た覚えのある瞳。黒い……何かが宿っている様な感じがするあの眼。
それはそう、似ている。同じだったんだ。
――……毎日、鏡の前で見ていたんだから。無力を嘆いていたあの頃に。
彼女が抱える闇が何なのかは判らないけれど、何かを抱えている事はわかったのだ。
「……オレは、乗り越えられた。爺やや、玲奈、皆のおかげで、ね……。彼女もきっと乗り越えられるって信じてるよ。安易だって、思うかもしれない。でも他者に踏み込んでもらいたくない領域は間違いなくあるから。たとえ善意だったとしても、どう取るかで変わるから」
「そう、ですね」
綺堂は頷いた。
彼女に何かがあるとは言え、別に何年も、いや何日すら経っていない。今日あったばかりの他人に何が判るものだろうか。似たような境遇があったとしても、下手な同情は相手を傷つけるだけだ、と思ったのだろう。
そして、何よりも彼女の事を知っている訳じゃない。今日あったばかりであり、目の色の奥を見たからといって、全てを判ったとは絶対に言えないから。
「また、何処かで合えたら、その時、改めて色々と話してみるよ。……ちゃんとね」
「……それがよろしいかと思いますよ、坊ちゃん」
綺堂は笑った。
こうまで他人の心を判る少年に育まれた事を嬉しく思う。彼を支えてくれた皆や彼女に深く感謝をするのだった。
そして、勿論最後には一応忠告をする事にした。
嘗て、《マダムキラー》 なーんて呼び名も実はあったりする綺堂。親が親なら子も子。と言う事で、隼人も同じような素養を秘めている様、と思ったのだ。
「坊ちゃん。玲奈お嬢様を泣かせたらダメですよ?」
「……ん? なんで玲奈が泣くの?」
隼人の返答を聞いた綺堂は、苦笑いをしていた。
かつての自分は、ここまで鈍感じゃ無いかな?っとも思っていたのだった。
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