三十二話:勉強と日常
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絶対使いどころがおかしいだろその台詞」
ツッコミを入れながらもがくが逃げられそうにない。
なんか最近こんなことばっかりのような気がするな。
「前から君に聞きたいことがあったんだ」
「こんなことまでして俺に何が聞きたいんだ」
「それだけの価値はあるさ。ねぇ……君は―――」
「リヒター、誰か来と……る…ん」
ベランダから進入し、俺達を見て固まるジーク。
ミカヤに抱きしめられる俺。俺を抱きしめるミカヤ。
胃がねじ切れそうなほど気まずい沈黙が流れる。
そしてまず初めにジークが沈黙を破る。
「どういうことか、説明してくれる? ミカさん、リヒター」
背筋が凍りつく様な冷たい声で。何この修羅場。
右にミカヤ。左にジーク。美少女二人に挟まれる幸せ者な俺。
……冗談だ。俺を挟んだ状態で睨み合っているので嫌な汗が止まらない。
「で、どういうことなん?」
「取りあえずお前が思っているようなことはな―――」
「リヒターは黙っとってくれる?」
ニッコリと笑った状態で告げられる言葉。
口調こそは穏やかなものだったが確かな強制の意思を感じさせた。
ジークが怖い。未だかつてない程に怖い。これがチャンピオンの底力だとでもいうのか?
「ふう、私がリヒターを抱きしめることに何か問題でもあるのかな?」
「大有りや。勝手なことは許さへん」
「ふふふ、まだ誰の物でもないからどうアプローチをかけるのも勝手だよ」
「リヒターは…う、私の……セコンドや。せやから私の物や!」
何かとんでもない理論で俺がジークの物になっている。
「と、ジークは言っているよ、リヒター」
「ここで俺に振るんじゃない」
ミカヤがニヤニヤ笑いながら話を振って来る。
こいつこの修羅場を楽しんでいるんじゃないか?
いや、間違いなく俺を苦しめて楽しんでいる。このドSめ…っ!
「リヒター……」
先程の気迫はどこに行ったのか不安げな目で見つめてくるジーク。
俺は勿論ジークの物ではない。だがこんな目をされると切り捨てることは出来ない。
「まあ……大会が終わるまではお前のセコンドだからな」
「リヒター…ッ!」
「ただし、大会が終わったら知らんぞ」
「つまりは、大会が終わればフリーだということだね?」
「ッ!」
俺が頷くとパッと顔を明るくさせていたジークだったがミカヤの言葉で表情を硬化させる。
忙しい奴だと思いながら眺めると今度はブツブツと何かを呟き始めた。
「……だいじょぶ。元からこの大会で変えるって決めてたんや」
「ふふ、どうやら君も覚悟を決めていたようだね」
「私にだって譲りたくない物があるんや」
強
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