暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第168話 別人
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 シノンは、銃口を男に向けた。
 
 正直、『勝てる訳がない』頭の何処かでは思っていた。

 当然だ、自身最強の武器である、ヘカートUは弾を撃ち尽くし弾切れだ。

 再装填(リロード)をする事も出来ない。そして、自分が持っている武器はサブアームのグロック。
この男相手には心許なさすぎる。

「……不味いな」

 男は、ゆっくりと身体を動かした。

「チッ!!」

 シノンは、一気にトリガーを絞り撃ち放った。
 この至近距離であれば、幾らあの男であっても、数発位はヒットするだろう。ミニガンの様に散蒔く……と表現するには弱いが、一気に弾倉(マガジン)を空にする様に、トリガーを振り絞った。
弾幕が至近距離で、あの男へと迫る……が。

「なっ!」

 撃つタイミングを完全に見切っていた、と言うのだろうか?トリガーを絞るよりも先に、あのマントを前面に放っていた。無数の弾丸、弾幕はマントに当たり、穴だらけにしたが、男の身体には当たった感触はない。人体にヒットした時に出る、赤いエフェクトが全く出なかったからだ。


――目晦まし(ブラインド)!?


 一瞬の事で、驚くシノン。
 だが、その驚きは目晦ましの事ではない。自身の指がトリガーを絞るよりも早くに行動したその異常な速度にだ。マントに手をかけ、そして全面に振るう。その行為と、構えた銃のトリガーを絞る。
どちらが早いのかは、火を見るよりも明らかだ。だが、それでも初速、動き負けた。以前戦った事、共闘した事も踏まえ、大体のステータスは把握していたつもりだったのに、この異常速度は知らなかった。
 まだ、隠し玉があったのか、とシノンは驚愕したのだ。

 何にせよ、初撃を躱された今、もう勝機はない。

 無策で感情に任せ、勝負に挑んだ事に後悔もややあったが、それを踏まえて戦場だ。
戦いの場だ。それら言い訳は全てこの世界に置いては全て不純物だ。


――自分がただ、弱かった、まだ敵わなかった、それだけだ。


 シノンは死に戻りを覚悟した。
 相棒であるヘカートUだけはどうか落とさないで、と願いつつ、死を受け入れようとしたのだが。

「生憎、オレは闘るつもりは毛頭ない」
「……なっ!」

 その直後、いつの間にか、背後から声が聞こえてきた。そして頭に手が乗っている。

「……悪い、戦いはまた今度に取っておこう」
「バカ言わないで! ここまで来たら、殺すか殺されるか。その2つ以外有り得ない!」
「バカはどっちだ。此処で バトルロイヤルをしてる訳じゃあるまいし、ただ遭遇しただけなのに、問答無用で攻撃する訳ないだろう?」
「っ……!」

 確かに……とシノンは思ってしまい、やや冷めてしまった様だ。

 感情的に
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