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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第168話 別人
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シノンは、戦場を駆け抜ける。
交戦エリアに突入すると、AGIパラメータ支援を全開にし、猛ダッシュだ。身を隠そうなどとはもう思っていなかった。先制攻撃は
狙撃手
(
スナイパー
)
によるものだと言う事はもう知られているから、接近するシノンの姿を既に補足しているだろうからだ。
案の定、ブラスターによる攻撃がシノンの方にも何発か飛んできた。
それを難なく回避し滑り込みながら、ダインが隠れている建物のコンクリートの残骸の裏へと入る。いきなり目の前に出現したシノンをダインは、驚愕の視線で眺めた。その視線は、どう見ても好意的ではないし、感謝している様にも見えない。その眼は、わざわざ死地へと首を突っ込んできたもの好きへの疑念に過ぎなかった。
だが、ダインは直ぐに視線を反らせる。シノンの登場には驚いたが、今はそれどころではないからだ。
「……奴ら、用心棒を雇ってやがった」
「用心棒?」
「知らねえのか、あのミニガン使いだよ。あいつは《ベヒモス》って言う、北大陸を根城にしてる
脳筋
(
マッチョ
)
野郎だ。……カネはあるが根性のねぇスコードロンに雇われて、護衛のマネごとなんかしてやがんだ」
「……」
シノンは、はっきりとこの時思った。
『このスコードロンより。……っと言うより、ここのリーダーであるダインよりもよほど尊敬出来るプレイスタイルだ』と。
もし、これが放映されているとしたら、大体の人がそう思うに違いない、とも思ったが、勿論、そんな事は口に出さない。その代わりに、ダインの向こうで時折掩蔽物から顔を出しては、敵集団に向かって虚しい反撃を試みているアタッカーたち3人を見やり、ぎりぎり全員に聞こえるだけのボリュームで言った。
「このまま隠れていたら直ぐに全滅する。――あのミニガンは、そろそろ残弾数が怪しいはず、全員で攻撃アタックすれば、派手な掃射は躊躇うかも知れない。そこを突いてどうにか排除するしかない。
短機関銃
(
サブマシンガン
)
2人は左から、ダインと私は右から回り込んで。
M4
(
アサルト・カービン
)
はここから
援護射撃
(
バックアップ
)
を……」
そこまで言ったとき、ダインがかすれた声で遮り、首を左右に振った。
「……無理だ。ブラスターだって3人残ってるんだぞ! 突っ込んだら防護フィールドの効果が……」
「ブラスターの連射は実弾銃程のスピードじゃない。半分は避けられる」
「無理だ!!」
ダインは頑なに繰り返す。
このスコードロンのリーダーがこの調子であれば、士気に影響してしまうのも目に見えている。どうにか、根性を出してもらおうと言葉を考えていた時だ。
「突っ込んでもミニガンにズタボロにされるだけだ。……残念だが、諦めよう。連中に勝ち誇られるくらいなら、ここでログアウトして……
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