第三十六話
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してやるんだ。あれほど念押ししたっていうのにお前らは分かってないようだな」
少し凄みをきかせて奴らを睨んでやる。
しかし、蛭町達はニヤニヤと薄気味悪笑いを浮かべるだけで何もしようとしない。
どういう事なんだ? 外の連中は知らない奴らばかりだから仕方ないとしても、蛭町には俺の強さを嫌というほど分からせてやってるはずなんだけど。馬鹿だからすぐに忘れちゃったのか? んなことは無いよな。
「ウン、相変わらず良い感じだね、月人君。きちんと言っておくよ。俺たちが漆多を脅して電話させたワケじゃない。……すべて彼の意志なんだよ。彼が君を呼びたいっていったから、俺たちにも異存がないから従っただけだよ」
「ふざけるな、そんな訳ないだろう。お前ら寄って集って漆多にこんな目に遭わせて……。そうだろう? 」
俺は漆多を見る。しかし即座には反応が返ってこない。どういう訳か俺から眼を逸らす。そうして呟くように喋ったんだ。
「……蛭町君が言っているのは本当だよ。お前を呼んだのは俺の意志だ。殴られたりして無理矢理電話させられたんじゃあない」
「どうしてなんだ? 」
「それは、……それは」
何かを言おうとして躊躇するかのように彼は口籠もる。本当は聞きたいのにそれを口に出すことを憚っているような沈黙。黙り込んでしまった。
「仕方ないなあ」
そういって蛭町が割ってはいる。「漆多君はお前に聞きたい事があるんだよ。でも、お前とは親友らしいからな、なかなか面と向かって言えないみたいだ。だから、聞いてやる。月人、日向と如月が火災に巻き込まれて死んだあの時、お前はどこにいたんだ? 火災は夜に発生したみたいだけど、お前はその時どこにいて何をしていた? 」
いきなりそんなことを聞かれて動揺を隠すのに必死になった。漆多もそばにいるんだ。うかつなことは言えない。
「……その日は放課後、さっさと帰った」
「学校は何時くらいに出たんだ? 」
「時計なんか見てないから何時に学校を出たかは、あまり覚えてないよ」
「まあそうだろうな、じゃあその時はまだ明るかったんだろうな」
「ああ、部活もやってないから暗くなるまでいる理由もない」
「ふふん。すぐに家に帰ったのか? 」
「いや、……コンビニで晩飯買ってからだから、すぐじゃない」
「じゃあ家には何時頃に帰り着いたか覚えているか」
「さあ、はっきりとは覚えてないけど、……たぶん8時には帰っていたと思う」
嘘を言っている事がばれないように曖昧な調子で答える。本来なら蛭町なんてぶちのめしてそれで終わりなんだけど、漆多がいるからいきなりの行動はとれない……。
「つまり、月人。今までの証言からすると、お前は放課後少しぶらついてから日が暮れる前には学校を出て、途中
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