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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第166話 2つの出会い
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まぁー そりゃそっか。 シノンの遠距離狙撃がありゃあ優位性は全く変わらねえや! ……そういや、シノっちさぁ」
顔が緩みまくっているのがよく判る。
その顔のまま、四つん這いで、シノンの隣に近寄ってきた。
「あのさぁ? 今日、この後時間ある? オレも狙撃スキル上げたいんで相談に乗ってほしいなーなんて。どっかでお茶でもどう? 良いガンショップも見つけたんだ〜」
シノンは男の腰に下がる武器に素早く視線を送った。
実弾系
短機関銃
(
サブマシンガン
)
が男のメインアームだ。
敏捷値
(
AGI
)
型らしく、正面戦闘での回避力はなかなかのものだったが、それ以外に魅力といえる様なモノはないと言っていい。興味が無いからこそ、相手の名前が中々出てこない。同じスコードロンだから、調べれば一発で判るのだが、そうするのは流石に失礼に当たるだろう。
だから、シノンは何とか名前を思い出しながら小さく頭を下げた。
「……ごめんなさい、ギンロウさん。今日はリアルでちょっと用事があるから」
現実の自分の声とは似てもにつかない、と思う高く澄んだ可愛らしい声が流れ、内心うんざりするシノン。
これだからこそ、喋るのは好きじゃないのだ。
異性プレイヤーに向けられる視線もそうだ。唯一違ったのが、先刻でもあった彼は別だったけれど、大抵が今前にいるギンロウと似たようなモノ、ウットリとした表情をそのままに、笑った。
その表情には、正直寒けすら走る。これだったら、以前の屈辱の完敗を再来させる方がまだマシだと思える程にだ。
だから、シノンはこのゲーム、ガンゲイル・オンラインをするにあたって、無骨、無個性な男の姿を我が分身に、と思ったのだが、直ぐにこのタイトルでは、プレイヤー・キャラクター間の性別逆転が不可能だと知らされた。
……なら、せめて出来るだけ筋肉質で長身の女兵士に、と思ったのだが、結局は小柄で華奢、まるでお人形か?って自分自身でも思う程の代物になってしまった。
即座にアカウント削除をしようとしたのだが、シノンを誘った友人が『勿体無い!』と強硬に主張。
そして、ずるずると行くうちに、半ばなし崩し的に後戻りできないところにまでレベルを上げてしまったのだ。
だから、この手の男プレイヤーとの厄介な申し出は時折ある。
ただただ鬱陶しいだけだ。自分のプレイの動機とは180度違うモノだというのに。
「そっかー、シノっちは、リアルじゃ学生さんだっけ? 大学生? レポートかなんかかな??」
「……ええ、まぁ」
おまけに、以前に一度落ちる時に口を滑らせてしまった《学校》と言う単語。そこから、誘いが執拗になってきたのだ。……今更高校生だとも言える筈も無い。
更に悩ます種になると、かなり後悔したものだ。
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