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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第164話 何よりも安全第一で
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『迷惑に思うのは誰がどう考えたって、君だろ?』 と正直菊岡は思ったけれど、そこは口を閉じた。
「それに、以前までのモニター越しのMMORPGじゃない。VRMMORPGなんだ。視線を想像する……じゃなく、本当に見られているんだ。格段に増すと思うね」
「ほうほう、確かにね。イグシティの街中やアルンの空の上、……目撃情報はたくさんあるけど、レイナちゃんとマイムマイムだもんね。そりゃ 視線が集まるわけだ。色んな意味で」
「………」
「ああっと、冗談だよ? 冗談。帰れ〜なんていうのはまだ勘弁してくれ。まだ 話があるから」
「全く……」
「でも、その心理だろう? 間違いなく」
「……ああ、そうだと思うよ」
リュウキは、頭を掻きながらそう言う。異性についての興味が薄かった、と言うより感情をよく理解していなかった頃は、そうでもなかったけれど、理解して、愛情を知った今は本当によく判る。
レイナは美人で可愛い。
好きと言う感情の一歩手前で思う感性だ。……あまり言い過ぎるとノロケになっちゃうので、割愛するとする。
割愛しないと、世界で一番可愛いのはレイナ。と言う理由を事細かに説明しなきゃならないから。
「兎も角、このゲームで手に入るモノは 一種の麻薬の様なものなんだ。モノ、強さと言うモノが誰でも手に入るんだから。 自分の手で、相手を破壊できる力。 元々強さって言うのは、誰しもが欲するモノだ」
リュウキのその言葉の中には、深い想いがある。
かつて、守る事の出来なかった少女の事。……菊岡には知るよしも無いし、リュウキ自身も話すつもりも無かった。そのまま、菊岡は、リュウキの話は理解したようで頷いた。
「ああ、そうだね。格闘漫画を読んで、同じ修行してみたり〜とか、僕もあったよ。ま、たいていはすぐにそう上手くいくもんじゃない、って悟って 現実的な夢に切り替わっていくんだけど……って、ああ。そう言う事か。 向こうの世界では、その夢の続きをもう一度見られる、って事かい」
「
Exactly
(
その通り
)
。その夢の世界で、力を手に入れたと錯覚し、そして夢から覚めないままに現実に戻ってきて……」
リュウキは、空を仰ぐ様に天井を見た。それに、続くのが菊岡だ。
「仮想世界での強さが、現実を侵食し 犯罪に走った。って事かな。うん、その通りだと思うよ。……それを踏まえて、なんだけど」
菊岡は、両手を組み、リュウキの目をしっかり見据えて聞いた。
「仮想世界がもたらすもの、それは本当に心理的なものだけなのだろうかね?」
ここからが、今回の件の本題部分だ。
それは、あるVRMMOでの出来事。
そして連動する様に、現実世界で起こった不審死。
その原因が一体何なのか。
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