暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第163話 ガンゲイル・オンライン
[2/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
った。

 そして、更に数分後。

 酒場に備え付けられたモニター、ホロパネルに映し出される。全体的に薄暗い店内、その中央に高く映し出されたそれは、酒場を光で照らす様だ。……が、内容はプレイヤー達にとって良いものではなかった。

敏捷値(AGI)万能論なんてものは初戦、単なる幻想なんですよ!』

 モニターに写っている男のその一声で更に酒場がざわつく。

 丁度、番組が始まった様だ。

 そのキーの高い男の声は更に続いた。

『まぁ、確かに敏捷値(AGI)は重要なステータスです。速射と回避、この2つの能力が突出していれば十分に強者足り得た。……これまでは(・・・・・)、ですがね』

 この放送は、ネット放送局《MMOストリーム》の人気コーナー、《今週の勝ち組さん》である。

 現実世界でも見る事は勿論出来るが、こうやってVRMMO内でもその様子を見る事は出来るのだ。
 特に今回の第目は、今いる世界。GGOのプレイヤーの話。それもあってか、何処の酒場、公共施設に言っても、これは放送されている。

『しかし、それはもう過去の話ですよ。8ヶ月かけて敏捷値(AGI)をガン上げしてしまった廃人さん達にはこう言わせてもらいますよ――……ご愁傷様、とね』

 嫌味たっぷりと言ったその口調に、広い店内のそこかしこからブーイングが沸き起こる。どんなゲームであっても、トッププレイヤーと言うものは妬まれるのが世の常であり、この世界でもそれは例外ではない。
 醜い嫉妬と言えばそうなのだが、この放送に出演している彼に関してはそう簡単に言える話でも無いのだ。

 別に興味が無さそうにワインの続きを喉に通している彼と、新たに来訪してきた彼はモニターは見ずにただ座っていた。

 その表情こそは、頭まですっぽりと覆ったマント型の迷彩服で見えないが言い様のない不快感を表しているのは雰囲気から感じ取れた。僅かにだが、その拳が震えている様にも見える。

「(……似たようなモノだな)」

 視界の端で、それを見た後、くいっと最後までワインを飲み干した。

 ここで、騒いでいる彼らと、影で憎んでいる彼。その違いは一体何処にあると言うのだろうか?悔しければ自分自身で頑張ればいいし、鍛え上げればいい。所詮はゲームだ、と言う声もあるだろうが、その努力は決して無駄にはならない事もある。
 従来までのネットゲームでは、そうでも無かったが、この自分自身の身体を使ってプレイするVR世界で培った力は、現実世界でも更に色濃く反映される事も多かった。良い話であれば、人見知りで誰かに話しかける様な事が無かった人物が、VR世界で活躍し、頼られる存在となった。そこで自信が出てきたのか、現実世界でも誰かに話す事が出来る様になったのだ。モニター越しのプ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ