三十一話:テストと日常
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リバリ勉強するぜー!」
『おーッ!』
「お前ら気合に満ち溢れているのは良いが静かにやれ」
『すいません、先生』
見回りに来た先生に注意されて若干顔を赤らめて謝る三人を見ながら俺も自分の勉強を再開するのだった。
「うみゅ〜おかえりや〜リヒタ〜」
何故か家に帰ると家に酔っ払いが居た。
ソファーに転がったまま顔を赤くしてトロンとした目で俺に手を振るジーク。
我が家に酒など置いていなかったはずだと思った所でジークの足元に貰い物のアルコール入りのチョコを発見する。
……まさかあれで酔ったのか?
「う〜ふわふわや〜」
「……取りあえず寝かせてやるか」
溜息を一つ吐き、毛布を取りに行く。
そして酔っ払いにかけてやるが暑いーとか言いながら蹴り飛ばされてしまう。
子どもかこいつは。再び溜息を吐き、かけなおそうとするがジークに腕を掴まれて引きずり込まれてしまう。
「んにゃあ……ポカポカするんよ〜」
「おい、離せ。たく、こいつ全く離れない」
「にゃう〜すりすり〜」
猫のようにゴロゴロと喉を鳴らしながら自分の頬を俺の頬にスリスリしてくるジーク。
こいつ、酔うとここまで酷いのか。
たかだかアルコール入りチョコでこれなら酒を飲んだらどうなるんだ。
「なぁ〜ちゅ〜して〜や。むちゅ〜」
唇をすぼませてキスの構えを見せるジーク。
流石の俺もこれには焦る。
慌てて押しのけようとするが逆に上下を逆転され押し倒されてしまう。
「も〜リヒタ〜のいけず〜」
「そうは言ってもな、お前酔っぱらっているだろ」
「ウチはリヒターのことだいしゅきやからええんよ〜」
不満げに唇を尖らせ呂律の回らない声を出す。
酔っぱらっている奴に俺の初めてをくれてやるつもりはないので再び逃走経路を思考するが流石といったところの馬鹿力からは逃れられない。
「もうにがさへんよ〜。ちゅ〜」
段々と近づいて来るぷっくりと膨れた淡いピンクの唇。
暖かい吐息、長いまつ毛。
もう逃げられないと悟り目を瞑るが何故か吐息は俺の耳にかかり、温かな頬は俺の片方の頬と触れていた。
恐る恐る目を開けると規則正しい寝息を立てながら完全につぶれているジークが居た。
ふうっと大きく息をつきジークを押しのける。
「全く、この乞食は……とんでもないことをする」
悪態をつきつつ毛布を掛ける。
それから飯の用意に取り掛かり始める。
それにしても……今度からは注意しないとな。
「外では絶対に酒を飲ませない様にしないとな。……特に男が居る時は」
そう呟き、鏡に映った赤い耳を無視して調理に戻るのだった。
「えへへ〜リヒタ〜」
全く……幸せそうな顔で寝言
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