三十一話:テストと日常
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お前はこんなところで燻っているような奴じゃないだろ! あの燃え盛る業火を―――夢を俺達にもう一度見せてくれよ! ハリー・トライベッカッ!」
「……たく、うるせぇな。耳元で叫ぶんじゃねーよ」
ゆっくりと顔を上げて俺を見るその瞳には熱い炎が宿っていた。
椅子から立ち上がり拳を握りしめハリーは続ける。
「だけど、目が覚めたぜ。ありがとうな。オレ、悪い夢を見てたみたいだ」
『リーダー……』
眩しい物でも見るかのように目を細めてハリーを見つめるルカとリンダ。
その視線に自然に微笑み返し、キッと目に力を入れる。
「オレァ、もう逃げねえ! 現代文だろうが古文だろうが歴史だろうが全部返り討ちにしてやるよ!」
「流石っス、リーダー!」
「一生ついて行きます!」
涙を流しながら抱きしめ合う三人。
ミアはそれを何とも言えない表情で見つめる。
そして俺は小声でボソリと呟く。
「やっぱ、こいつらバカだな」
テストの度にこうやってモチベーションを上げてやっている気がするしな。
いつも同じやり取りを繰り返している事にこいつらは気づいているのだろうか?
「あはは……毎度助かってるけどよく思いつくね。あんなセリフ」
「相手をからかうにはまずは相手の心を知る必要がるからな。良く知っている奴ならどう言えば奮い立つかも分かるようになったんだ」
「理由がこの上なく最悪だ」
ミアから真顔で最悪と言われてしまう。
だが有効なことにも役立てているのだから文句は言わないでほしい。
まあ、90%以上はからかうために使っているのだが。
「はぁ……本当に何でこんなやつが―――アタシより順位が上なんだろ」
「テストっていいよな。簡単にいじるネタが生まれるんだから」
「リヒターって本当に無駄な才能だけはあるよな」
勉強は昔から得意だったんだ。無駄と言うな、無駄と。
因みに前のテストは学年3位だった。次は1位を目指そう。
「よーし、気合が入った所でまずポイントを教えてくれ」
「有料なら参考書を作ってやってもいいぞ」
「この人でなしが!」
「リスクなしにメリットを得ようとする心が贅沢なだけだ」
「お前はただ単に金が欲しいだけだろ」
何故ばれた。だが、ただで情報を教えてやるつもりなどない。
この世は基本的に等価交換だ。何かを得るには何かを犠牲にしなければならない。
この俺を満足させる対価を払ってみせろ!
「今回はこことここを抑えれば大丈夫っスよ」
「おう、サンキューな。ミア」
……スルーされた上に客を取られた。商売って難しいんだな。
少し現実社会の厳しさを体感しながらミアからの教えを受ける三人を眺める。
「よっし! ポイントも抑えたし、バ
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